耐火被覆・断熱工事業を出自に、2004年から不動産仲介ポータルサイト「おんぼろ不動産マーケット」を開始するなど、不動産仲介・建築工事業を展開するNENGO(川崎市)。同社では地域の不動産オーナーや投資家を対象に、地域の歴史や文化を読み込む独自の企画プロデュースと施工力を生かし、建築の新しいビジネスモデルを確立している。
※本記事は新建ハウジング別冊・プラスワン2019年1.2月合併号に掲載した記事を再編したものです。
オーナーの悩み解決を再生のチカラに
同社はもともと耐火被覆工事業者として1983年に創業。その後、1993年に現社長の的場敏行氏が入社して以来、断熱工事、塗料製造・販売、建築リノベーション工事、不動産事業まで領域を広げてきた。現在、社員46人で年間17億円を売り上げる。
高度経済成長期に建てられた施設物件の老朽化で賃貸経営に悩む不動産オーナーは多い。同社のリノベーション事業では、そうした不動産オーナーに対して物件を建て替えず、リノベーションによって再生することで、建て替えよりも少ない投資負担で、賃貸経営を改善するソリューションを提供する。
不動産オーナーの経営改善を提案するため、同社が強みとするのは建物単体ではなく、街を読み込んだリノベーション提案だ。「その街の気候・風土・歴史・文化を読み込み、この建物が街にとってどうあるべきか、この街がどうなっていくのか、という方針を持ったうえで、個々の建物のリノベーションを計画する」とコミュニケーション推進室の河原大悟さんは説明する。同社ではこれまでに老朽化した物件を地域のニーズにあわせて、シェアハウス・カフェ・店舗・シェアオフィス・バスケットボールコートなどが集まる複合施設や、簡易宿所をリノベーションした宿泊施設などとして生まれ変わらせてきた。
不動産オーナーに限らず、入居者側のリノベーション需要にも応じる。個人の自宅や購入した中古物件、企業が所有するオフィスをリノベーションすることもある。
「仕立てる賃貸」というソリューション
NENGOのリノベーション事業のなかで、オーナー・入居者の双方にとって満足度の高いソリューションとして人気を集めているのが「仕立てる賃貸」だ。
従来、空室物件を抱える不動産オーナーは、リノベーションを行って新たな入居者を探すが、その時点では入居者の層が想定できないため、できるだけ標準的なリノベーションを選択せざるを得ず、実際に入居者が見つかる確証もない。これに対し「仕立てる賃貸」は・・・・
【残り1821文字、写真6枚】
この記事は、『新建ハウジング別冊・プラスワン1.2月合併号/性能の流儀』(2019年2月28日発行)P.30~に掲載しています。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。