雨仕舞いと通気は木造住宅を長持ちさせる基本であり、トラブルも多い。雨を躯体内に浸入させないためには隙間や孔はないほうがよい。一方、通気を確保するためには隙間や孔が必要になる。今回は雨仕舞の要である笠木の設置を中心に紹介する。
※本記事は新建ハウジング別冊・プラスワン12月号に掲載した記事を再編したものです。
通気と雨仕舞いに配慮したバルコニー手摺り壁の施工手順で漏水原因となりやすい笠木の施工を紹介する。
バルコニーの手摺り壁の天端は、日射しや風雨、温度差など過酷な環境に晒され、雨漏りにつながりやすい。なかでも笠木からの雨漏りの事例は多数報告されている。笠木天端はほぼ水平であり、内部に入り込んだ雨水が排出されにくく、しかも早期に判明しづらい。外観上に異変が現れたときには、手摺り壁を構成する木材の腐食や下階への漏水など、被害が拡大していることが少なくない。
脳天からの釘打ちは厳禁
笠木からの雨漏りのうち、最も多く見られるのが、笠木を固定する際に脳天(真上)から釘打ちしている事例だ。釘の周辺にわずかな隙間が生じるため、雨が降れば浸水する可能性がある。
雨漏り防止策として、釘頭にシーリングを施す事例もあるが、気休めにすぎない。また経年劣化によりシーリングは数年で防水効果を失うため、その点からも難しい。
笠木の施工に先だって、笠木下部の防水紙や防水テープの施工を完璧に行うことが重要だ。その上で笠木は横から釘を打って固定する。笠木同士の継ぎ目の防水処理も忘れずに行う。
施工のポイント 1
片ハットジョイナーの取り付け
●笠木下換気部材の下部に片ハットジョイナーを固定するための木下地を一定間隔で取り付ける
●出隅、入隅部分には、片ハットジョイナーを固定するための木下地を密に取り付ける
●木下地に対して片ハットジョイナーを釘留めする。その上からサイディングを張っていく・・・
【残り写真45枚・図面2点】
この記事は、『新建ハウジング別冊・プラスワン12月号/性能の流儀』(2018年11月30日発行)P.48~に掲載しています。
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