大手ハウスメーカーの進出に危機感を募らせる岩手沿岸部で、地場産業の活性化を目・官・学連携の住宅建設プロジェク指す産トが動き出した。名前は「宮古発・復興住宅『暖(ぬく)だまり』」。地域材をふんだんに使った住宅を、十分な性能を確保しながら、できる限り安価・短工期で供給する。近くモデルハウスを着工、大手に対抗して住まい手への発信を強めていく考えだ。
「このままでは復興住宅に使われるお金の大半が地元に落ちない。あとに残る仕事は維持管理だけ。これでは逆に地域の衰退を早めることになりかねない」
プロジェクトをリードする一人、岩手県立大学准教授の内田信平さんはそう話す。
「暖(ぬぐだまり)」の主眼は地域復興と産業活性化の両立だ。2005年から取り組まれている「みやこ型住宅」が、そのベースにある。
宮古地域では木材生産者、製材・加工業者、流通業者、設計・施工業者約20社が県の支援のもとで連携体制を構築(宮古・下閉伊モノづくりネットワーク林産部会)。地域材を80%以上使って次代省エネ基準をクリアした住宅(=「みやこ型住宅」)を認定し過去20棟超を供給してきた。
「暖(ぬぐだまり)」はこのしくみを基盤とし、加えて、震災で発生したがれき木材を再資源化した「復興ボード」を活用。断熱材一体型のパネルにすることで簡易に次世代省エネ基準レベルの性能を確保しながら、工期短縮とコストダウンを図る。
パネル建て込みと同時に耐力壁と水平構面をつくり、断熱・気密工事と内外装の下地工事まで完了させるしくみ。施工がシンプルなため性能を均質化しやすい。 「パネル化して納まりを標準化することで、断熱に不慣れな応援の職人が現場に入っても品質を保てる。これにより、ある程度の需要量に対応したい」と内田さん。
地元工務店の4社JV(建設共同事業体)が近く宮古市内にモデルハウスを建設し、住宅再建を望む被災者への周知を開始する。
4社JVのまとめ役で甲斐谷建築企画の甲斐谷修治さんは「住まい手に見せられる復興住宅が、まだ地元にない。『こういう提案ができる』という中身を早く示し、発信していきたい」と話す。
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