加熱する高断熱競争。だが施工技術が追いつかないという声をよく聞く。設計通りの性能に仕上げる高精度な施工術について、アーキテクト工房Pure(愛媛県松山市)代表の高岡文紀氏と同社社員で断熱施工者の寺園浩一・寛己氏に聞いた。基礎断熱、気密、付加断熱などの施工テクニックを15のポイントにまとめて紹介する。
基礎断熱① 立ち上がりに断熱材をセット
◉建物下部の断熱は基礎外断熱。外周部の立ち上がりに防蟻EPS100mm厚を打ち込む。土間下はEPS100mm厚ないし50mm厚を敷設
◉砕石敷きの後、防蟻防湿シートを施工し、外周部の型枠と断熱材を敷設。まず基礎屋が立ち上がりの木製型枠を建て込む。次に断熱施工者が型枠に防蟻EPSをビスで仮固定[写真下]
➡型枠の継ぎ手と断熱の継ぎ手をずらす。継ぎ手が揃うとコンクリート打設時に生コンに押されて孕む可能性がある
◉断熱材天端は基礎天端より15mm高くセット。後述する防蟻シーリング打設のため。水準器を使って断熱材の天端の水平を出す
◉断熱材の割り付け上、EPS発注時に寸法を決めプレカットして納品してもらい長さだけ現場切断とする
➡断熱材の継ぎ目に防蟻シーリングを施工する[写真右]
◉基礎断熱における土間下と立ち上がりの断熱材設置には2〜3日を要す
基礎断熱② 土間下の断熱材敷設
◉基礎のハンチ部分に断熱材を立ち上げ[写真下]、防蟻防湿シートの上に砂を入れて平らに均す。多少表面が波打つ程度でよい。立ち上げた断熱材を定木にハンチ部分を直角に均す
➡ハンチを直角にして底盤を平らに均すことで断熱材の敷設がスムースになる。断熱材同士の斜めの取り合いが生じないので納まりもよい。構造計算上も影響がない
◉その上から土間下の断熱材を敷設。外側から囲うように敷いていく[写真下]。敷いたEPSの上に乗って次の場所を敷く
➡これらの施工は社員である断熱施工者が実施する
◉コンクリートはベースと立ち上がりを分けて2回打ち。理想は一体打ちだが外側から断熱材を打ち込んでいるため打ち継ぎ部からの白蟻侵入のリスクは軽微と判断
◉基礎の型枠を外し、埋め戻す前に樹脂モルタルで断熱材にガラスネット伏せ込み、紫外線から断熱材を保護する[写真下]
この記事は、『新建ハウジング別冊・ワンテーママガジン10月号/健康・エコ 国産材が主役のサステナブルな家づくり』(2021年9月30日発行)P.148~に掲載しています。
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