住環境が人々の健康に与える影響が大きいからこそ、家づくりの専門家が医療を支援できる余地が残されている。
健康・省エネ住宅を推進する国民会議の理事長として、健康な住環境の普及に取り組んできた上原裕之さんが今、「真の健康住宅を目指した医療・建築連携」の実現を目指し、準備を進めている。連携のファーストステップとして、日本医師会常任理事の羽鳥裕さん、大野建設会長の大野年司さんを交え、お互いの理解を深めるための座談会を開催した。
【医療・建築連携はなぜ困難か】
―医療の専門家が、住宅政策への関わりを持つことが難しい状況が、長年にわたり続いたと聞いているが、なぜなのか。
上原 日本の医療界は、確かなエビデンスを求める。厚生労働省も、エビデンスがなければ動いてくれない。我々は、国土交通省のスマートウェルネス住宅(SWH)等推進モデル事業で、伊香賀先生(伊香賀俊治・慶応義塾大学教授)らと、断熱改修前後の居住者の健康状態を、5年かけて調査した。その結果が海外の学術誌で発表されるようになり、ようやく医療関係者も納得のエビデンスを示すことができた。
羽鳥先生には、国民会議で小規模診療所のコロナ対策マニュアルをまとめた際にお力添えをいただいた。医師でありながら、実は大学で建築を学んだ経験もお持ちの方だ。・・・
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