佐藤工務店(埼玉県上尾市)は、以前から注力していた耐震改修と合わせて断熱リフォームを提案することで、大規模リフォームの受注をコンスタントに獲得している。解体を伴う耐震工事と同時に施工して、新築並みの高性能化をリフォームでも実現。提案に説得力を持たせるべく、サーモカメラや温度の実測データを積極的に活用しているのも特徴だ。
〈※掲載情報は取材時のものです〉
リフォームの8割は耐震+断熱
同社は約20年前から、耐震改修を多数手掛けてきた。社長の佐藤喜夫さんは、耐震改修の顧客と話をするうちに「家の寒さに悩む人」の多さに気づいたという。2009年に長期優良住宅の認定制度が始まり「耐震や断熱のものさしができた」こともきっかけとなり、耐震改修に断熱をプラスした提案をスタートさせた。
現在は、リフォーム受注の8割が、断熱と耐震がセットになった大規模リフォームに。年間の件数は2件前後で、2019年も2件を受注。平均単価は1500万~2000万円程度だ。
佐藤工務店にくる生活者からの問い合わせには2つの傾向がある。「性能向上を含むリノベーションと、表層のリフォームを一緒に捉えている人」と、「耐震性や、家の寒さに不安を感じている人」の2パターンだ。実際の受注につながるのは後者だという。
世代でいえば若年層からの問い合わせも多い。古い住宅でも「住まい手が代替わりして、“自分で建てた家だから”と寒さを我慢せず、改善したいと思うようになっている」(佐藤さん)。断熱の重要性を認識して、築浅の中古住宅を断熱リフォームする選択肢を選ぶケースも目立つ。
新築での“慣れ”をリフォームで生かす
リフォームでも、仕様は新築と同じにするのが同社の基本だ。壁は外張り断熱で、断熱材にはフェノールフォーム断熱材「ネオマフォーム」45mm厚を使用する。基礎は防湿コンクリートを打設し、立ち上がりとエプロンにネオマフォーム45mm厚を張り基礎断熱を、屋根は「スタイロフォーム」50mm厚とネオマフォーム90mm厚を組み合わせて断熱する。
スケルトン状態まで解体するケースが大部分を占めるため、新築と同じ仕様・工法を採用することに問題はないという。むしろ、慣れていることのメリットが大きく、性能も高いレベルまで引き上げられる。UA値は、HEAT20・G2レベルの0.46W/m2K。気密性も、C値0.6cm2/m2程度まで高める。耐震性も含め「高性能でなければ、費用をかける価値はない」(佐藤さん)・・・・
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この記事は、新建ハウジング別冊・プラスワン5月号(2020年5月10日発行)P.14~に掲載しています。
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