新建ハウジングが運営する工務店向けオンラインスクールサイト「チカラボ」から、工務店の経営者や実務者に役立つ記事をお届けします。
今回は、吉岡孝樹さんの「『小なれど一流』を目指す社長への【選ばれる工務店への道】コラム」ルームからの記事です。
大学卒業後、アパレル企業を経て住まいに関わること30年。自ら住みたい家に暮らし、同じ価値観でお客様にも提供する仕事がしたくて2000年鹿児島に移住し“日本一の工務店”と名高い 株式会社シンケンに入社。その後、2002年自宅を新築、2010年著書『家づくりの玉手箱』発刊。本作は、氏の個人的営業トーク→シンケンHPのブログ→書籍化というプロセスで生まれたもので、全編にわたり新鮮な住まい手目線の写真と文体で表現され読者から絶大な支持を得ている。SNS時代にも通じる住宅コンセプトブックの金字塔とも言える一冊。2019年に株式会社家づくりの玉手箱を設立、『工務店の参謀』としての活動を開始。…
補助金と事業計画書の『関係改善』
■しくじり先生
歪む『補助金ワールド』
事業再構築補助金の第3回募集締め切りが終了しました。
複数のクライアントさんがこれに挑戦されていて、ここしばらく社長は日々大変であったことと思います。
事業再構築補助金というのは、新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援するというもので、経済産業省が実施する予算額1兆円を超える大規模な公的補助金です。
補助金申請に際しては当然のことながら綿密な「事業計画書」の提出が求められます。また国から認定された「認定経営革新等支援機関」と連携することが必要とされています。
「認定経営革新等支援機関」の多くは税理士や金融機関、商工会・商工会議所等が認定されていますが、新しい取り組みであることもあってか、実は彼らも申請者である企業との関わり方に苦慮している様子です。
どうしてか?といいますと、これまでの補助金の流れの影響があるようです。一部の経営者(特に補助金慣れした人達)には、補助金獲得の際の成功報酬でお商売をされているコンサルタントに丸投げしてサクッと獲得する強者も多くいらっしゃるようです。
経済産業省としては、「認定経営革新等支援機関」と連携することが必要としながらも、経営者が自分の頭で考え練り上げた「事業計画書」を提出して欲しいのです。至極あたりまえの事であります。今回のように巨大な予算がついている事業ならなおさらのことでしょう。
しかし、経営者の皆さんは「認定経営革新等支援機関」と聞くと過大に期待してしまい「丸投げ」体制で臨まれる方も多いようです。日頃の業務に追われていることもありますし、そもそも事業計画書なるものをちゃんと作ったことがない経営者が多数を占めるのが世の実態です。また、これまでの補助金はそのような「丸投げ」方式でも「審査側」の理屈に沿っていれば採択されるケースが多かったようです。しかし、今回は経済産業省の中でも「経営者の本気度」が重視されていて「丸投げ」系の申請採択をできるだけ排除したいという意向もあるそうです。「延命策」としてのばらまき型の補助金ではなく、ある意味で「見込み」のある企業に絞って傾斜配分しようという方針だからです。
そういった状況から「認定経営革新等支援機関」の方が「認定されていないが詳しい専門家」を補助金申請企業に紹介するというややこしい状況になっているのです。背景としては「認定機関」である税理士さんや商工会議所の担当者が、普段からお付き合いのある経営者から泣きつかれて補助金申請のお手伝いをしたものの、まさかの「不採択」で気まずくなってしまっているケースが多発しているという事情があるようです。よくよく考えますと、実は多くの「認定経営革新等支援機関」の担当者も「事業計画書」なるものをいちから書き上げたことはないのです。当然「補助金」を自力で獲得したこともありません。そこへ過度に「不正受給」的なケースを警戒している「審査側」独自の「本気度フィルタ」が働いて「丸投げ組」にとっては難関になっているようです…
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