山口県内で木造注文住宅を年間20棟手掛ける永見工務店(山口市)。社長の永見淳一さんは、昔ながらの棟梁の職能を現代の家づくりで復権させたいと考える1人だ。「工務店は大工を単純労働で使う意識が強く、それが入職の妨げになっている」とし、「職人の成長を制限しない育成の在り方こそが必要」と語る。
永見工務店では、常に9棟以上の住宅現場で、社員大工が稼働している。21人の社員のうち、見習いの4人を含む16人が大工だ。そのうち9人は棟梁レベルで、全ての責任を担って現場を仕上げる立場にある。
同社は1921年(大正10年)創業の老舗で、社長の永見さんは4代目。大学を卒業した後、サラリーマンを経験してから大工の修業をした。元請けとして32歳で初めて受注した案件で評価を得て、それ以後「職人による家づくり」を看板に、坪単価90~100万円の在来木造による注文住宅を年間平均15棟前後、自らが社長業に営業、現場の管理とフル回転しながら手掛けてきた。
転機は5年前、48歳で突然、過労が原因で倒れた時に訪れた。この時、30代後半の大工たちが中心となり、それまで永見さんが1人でこなしていた営業などの業務も積極的に担ってくれ、「大工が自分で営業して自分の現場(仕事)をつくる」スタイルを確立。それにより受注は年間20棟に伸びた。
永見さんは「もともと優秀な大工たちなので、自ら行動しながら棟梁として成長してくれた」と当時を振り返る。
無限の成長を目標に
「最近の大工仕事では・・・
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