名古屋大学(名古屋市)大学院環境学研究科の研究グループは、森林研究・整備機構森林総合研究所(茨城県つくば市)との共同研究で、岐阜県瑞浪市大湫町(おおくてちょう)における神明大杉の倒木化は、根系の発達制限に原因があったことを明らかにした。
令和2年7月豪雨の中、大湫町の神明神社内に生育していた樹齢670年の大杉が倒木。豪雨による影響が指摘されてきた。同研究では、レーザースキャナなどを用いて倒木化した大杉の根系状況を評価。それにより、土壌と根系の一体化した根鉢が小さいこと、長期にわたる根の腐朽や豪雨期間の気象状況により、根系の支持力が低下し、大杉の地上部と地下部のバランスが崩れていたことを指摘した。これは、豪雨のみが倒木化の要因ではなく、それ以前からの大杉の生育状況、特に根系の発達状況が主な要因であることを示している。
同研究グループは、今回の研究結果から、社寺林の巨木や森林で大径木化した樹木について、葉や幹など地上部の衰退状況だけでなく、根系など地下部の視点からも管理する必要性があるとする。同時に、今後、気候変動下で予想される豪雨や強風などによる樹木の倒木化を防ぐための管理指針の作成に、これらの知見が役立つことが期待されるとしている。
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