多くの工務店さんの図面・仕様を確認する中で、多くの会社に共通することを発見しました。それは「こういう目的を達成したいからその建材に決めた」という方向性というか理念のようなものが全く見えないことです。
数えたことはありませんが、1軒の木造住宅を建てるにあたり、必要な建材の種類は相当な数になるはず。その中でも各社でばらつきが大きいと感じる部分があります。ざっとあげると、右(※紙面・電子版に掲載)のようになるでしょう(外部、 内部の仕上げに関しては言うまでもないので、ここでは割愛します)。
私があげた項目だけでも、工務店各社にアンケートを取れば、1000社あろうと全く一緒ということはほとんどないのではないでしょうか。各社何らかの事情から、その組み合わせを使っているはずです。
その事情の実態をまとめると、大まかに次のようなものだと思います。
・特に理由もなく昔からその仕様だから
・建材メーカーの営業のトーク、もしくはカタログが良かったから
・掛け率が良かったから
・建材問屋との付き合い上
・施主受けしそうだから
上記が、他を寄せ付けない、5大決定要因ではないかと思われます。しかし、このように決めると、性能に関する建材に関してはまず理想的な決定を下すことはできません。どこの誰でもそうですが、自社の製品は良いと言い、他社の製品に関しては口をつぐむか、悪く言うものです。
まず、断熱でも構造でも耐久性でも、所定の性能を自分で決めたら(メーカーが決めるものではない。その会社の最終責任者、もしくは社員の総意で決めるもの)、それを満たす建材を選ぶ必要があります。それを確認する方法としては、自分でできるのであれば極力、計算・実験を行うのがベストです。
しかしながら、実際にそのようなことができる工務店(担当者)は、能力的にも時間的にもいないと思います。それができない上でベストな選択方法は、査読がなされた建築学会の論文を読む。それでもわからなければ、その分野に詳しい第三者に意見を求める。このいずれかは避けて通れません。
ここまでの最低条件をクリアした上で初めて「で、おいくらになりますか?」という掛け率の交渉をはじめるのが・・・
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