住宅建築で大型パネルを標準化しているサトウ工務店(新潟県三条市)は、「ものづくりのまち」として知られる燕市の工業団地内に、大型パネルを活用した延べ床面積 500m2余の木造2階建ての倉庫を建築。最大スパン11mの大空間を備える中規模木造施設に初めてチャレンジした同社社長の佐藤高志さんは、パネルという“テック”を生かすことで、「これまでゼネコンがつくる鉄骨施設の独壇場だった店舗や工場、倉庫などで、小さな工務店による木造に十分に勝機がある」と訴える。
※本記事は新建ハウジング別冊・ワンテーママガジン2020年8月号に掲載した記事を再編したものです。
最大スパン11mの倉庫を新築
同社が大型パネルを活用し、在来軸組工法によって新築しているのは、梱包作業などを行う企業の木造2階建て・延べ床面積514m2の倉庫兼事務所。建て物の幅は15mで、最大スパンは11m。この大空間は、大断面集成材と製作金物によりトラスを組んで実現。多雪地域の燕市で、積雪1.2mの荷重(十数トン)にも耐える。サッシや間柱、防水シートをあらかじめ工場で施工した耐力面材モイスによる大型パネルを耐力壁として軸組みにはめ込んでつくった。
佐藤さんは、自社で中規模木造を手掛ける今回の経験から「コスト面でも鉄骨より有利なことに加えて、温熱環境や快適性、丁寧な動線設計など住宅で培ったノウハウが大きな競争力になる」と力を込める。公共施設などから広がっている環境に配慮した「ウッドファースト(木造・木質化)」の流れや、地域の業者が地域の施設を建てることによる経済効果(循環)もあり、“社会的な追い風”も吹いている。
テック化と連携でハードル越える
ただ、地域工務店が中規模木造施設を手掛けていくためには、人材や技術面のハードルは高い。サトウ工務店では、大型パネルというテック(技術)を“切り札”的に用いて、さらには複雑な計算を必要とする構造設計については、地元のスペシャリスト(専門家)とタッグを組むことによりハードルを越えた。佐藤さんは、主に建物の外皮の部分を工業化(工場生産)する大型パネルの特性を挙げながら「倉庫や工場などは、ほぼ外皮でできているため、大型パネルと非常に相性がいい」と指摘し、「外皮をつくれば工事は8割完了したと言っていい」と説明する。
スパン11mの大空間を含む施設の構造設計については、、地元の「三条ものづくり学校」の中に拠点を置くウッド・ハブ合同会社の代表で、全国の構造設計者やメーカーなどでつくる「木構造テラス(木質構造の設計情報を共有する会)」の代表理事も務める實成康治さんに依頼した。實成さんは、・・・・
この記事は定期購読者限定の記事です。続きは、『新建ハウジング別冊・ワンテーママガジン8月号/工務店テック&住宅テック P.12~』(2020年7月30日発行)に掲載しています。
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