住宅設備機器メーカーDOORCOM(東京都港区、松井伊織社長)が展開する多機能IPインターフォンが好調だ。コロナ禍を契機に集合住宅への導入が加速、デベロッパーや代理店から引き合いが増加している。感染対策への意識の高まりを背景に、非接触でオートロックや自動ドアを解錠できる顔認証システムを導入した出荷数は、同社製品群のうち8割を占めた。
IPインターフォンは、モノとインターネットをつなぐIoT設計されたもので、遠隔地からでも、いつでも・どこでも操作できるのが特徴。従来のインターフォンはアナログ電線を用いたものが一般的で、同一敷地内でしか利用ができなかった。
同社が取り扱うAkuvox社製品は、インターネットに接続し、顔認証やQRコード認証、スマホアプリで来訪者を確認したり応答したりできる。どこにいても応答やオートロック解除、利用履歴の閲覧も出来るほか、トラブルの時もオンラインでの遠隔操作できる。
たとえば顔認証機能では、AIで個人を顔データで特定し、なりすまし防止機能によって写真やビデオを使用した不正認証を防ぐシステムがある。顔認証データは認証時に毎回更新するため、顔の変化にも対応する。
日々の利用記録をストックすることも可能だ。専用WEBブラウザから一元的にリモート管理できるもので、オートロック操作を日時ごとに写真管理でストックできる。そのほかコロナ対策として体温検知機能による健康管理を行う機能もあるという。
顧客の多くが建物のオーナーや管理会社で、自社販売やデベロッパー、10社の代理店を通じて受注しているという。同社製品の中にはWi-Fi式もラインナップされ、そのため施工が容易で、新築はもちろん、オートロック化していなかったマンションに設置することで、物件価値をあげることにも貢献している。
コロナ禍で入室工事が懸念される中、同社製品は入室工事が不要で、入居者に不安感を与えずに導入することができたのも同社の販売数増加の一助となった。
現在は集合住宅への導入がメインとなっているが、同社社長の松井伊織さんは「これまでのインターフォンにはない価値を提供することで、住宅のスマートホーム化に貢献し、スマート設備導入に躊躇している工務店を設計から施工後のサポートまで後方支援することができれば嬉しい」と話した。
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