かつて木材は最も身近な材料であり、設計者や大工は自在に応用していた。その素材から住宅の実務者は離れてしまっていた。ウッドショックはそれを顕にした。各所への取材をもとにウッドショック後の木材調達と躯体などの仕様の考え方についてQ&A方式でまとめた。
Q.1
なぜウッドショックは工務店を直撃したのか?
A
1つは木材調達をプレカット工場任せにしていたこと。もう1つはプレカット工場が扱っていたのは外材が中心だったこと
◉ウッドショックの影響は木材の調達能力で大きく異なる。以前よりハウスメーカーやパワービルダーは商社に競わせて大規模製材所から国産材を大量購入。ウッドショックの影響を抑えられた
➡2000年代に国策により増加した生産能力の高い大規模製材所をフル活用していた
◉多くの工務店の木材調達はプレカット工場任せ。大手プレカットが好むのは加工しやすい外材と集成材。国産材の取り扱いは少量
➡ウッドショックでプレカット工場に外材が入らなくなると、その影響は工務店を直撃
◉材料の保管や刻みができる下小屋をもち、以前より製材所や製品市場から材料を購入している一部の工務店はウッドショックの影響が少なかった
Q.2
現在のプレカット工場はどのような状況なのか?
A
プレカット工場は絶好調のハウスメーカーとパワービルダーが優先。
工務店は加工を待たされたり、取引を断られることもある
◉現在、木造系ハウスメーカーとパワービルダーは国産材を確保して絶好調。ウッドショックで約100万円/棟のコスト増となったが、販売価格への転嫁をある程度抑えて売上を伸ばしている
◉上記を反映して首都圏のプレカット工場はハウスメーカーやパワービルダーでラインが埋まっている。中小工務店はプレカット工場で刻みを待たされたり、場合によっては断られ、行き場がなくなる工務店もある
◉首都圏ではプレカットと材木屋、建材屋は分業化。工務店とプレカット工場は加工だけの付き合いなので、在庫がなく、ラインが開かないと、ドライに取引を断わる
◉地方の場合、材木屋がプレカット工場と建材屋を兼ねることが多く、工務店とは包括的な付き合い。加工を待たせることはあっても、取引まで断るケースは少ない・・・・
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この記事は定期購読者限定の記事です。続きは、『新建ハウジング別冊・ワンテーママガジン10月号/健康・エコ国産材が主役のサステナブルな家づくり P.126~』(2021年9月30日発行)に掲載しています。
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