パナソニック ホームズ(大阪府豊中市)は、ニュージーランド最大手の建設会社であるMike Greer Commercial. Ltd(マイクグリアコマーシャル社)と合弁会社「NZ Smart Build Technologies. Ltd(NZスマートビルドテクノロジーズ社)」を同国で設立し、10月から事業を開始すると発表した。出資比率はパナソニック ホームズが49%、マイクグリアコマーシャル社が51%。
新会社は、パナソニック ホームズ社製の住宅部材をマイクグリアコマーシャル社へ供給。2021年度中に政府系デベロッパーのカインガオラが計画する物件に住宅用部材を供給し、同国内で社会問題化している住宅供給不足の解消を目指す。住宅部材は、平屋や2階建ての戸建て住宅、テラスハウス向けをラインアップし、オークランドなどの都市部や周辺の郊外エリアへ供給。今後、年間1000戸規模の住宅部材供給を目標に事業拡大を図るとしている。
パナソニック ホームズは、2019年に同国政府系プロジェクト事業であるキウイビルドプロジェクトに採択。マイクグリアコマーシャル社と住宅部材、大型パネル構造(F構法)の供給スキームを検討するなかで、新会社設立が実現した。1月には、共同で同国ワイカト地方に試作棟を約3カ月で完成。一般的な住宅建築工期より約4カ月の工期短縮が図れたのに加え、住宅仕様や施工品質などの技術検証においても、同国の建築基準を満たしていることが確認できた。試作棟は、ショーハウスとして顧客や関係者向けに公開予定。
パナソニック ホームズは、日本向けの大型パネル構造(F構法)をベースに、ニュージーランド建築法規に合わせるため、外壁パネルに防水層を追加するなどして対応。滋賀県の同社工場にてサッシや防水シートなどが組み込まれた大型部材を、ニュージーランドへ供給する。NZスマートビルドテクノロジーズ社は、地震・台風に耐えられる優れた耐震・防水性能によって、健康的な住環境を提供するとしている。
また、NZスマートビルドテクノロジーズ社では、建築作業者への工業化住宅技術の指導を行い、スキルトランスファー(技術伝承)を図る予定。これにより、技術者数名でのクレーン重機による住宅部材の組み立てが可能となり、熟練度が上がることで日本と同様に1日で建物の上棟を正確・迅速に行えるようになるという。上棟工事期間の短縮は、住宅部材が雨・風にさらされる時間を抑制し、カビ発生などのリスクを低減、住宅品質向上につなげることができるとしている。
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