不動産取引での人の死の告知ガイドライン公表ー国交省

国土交通省は10月8日、「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」をまとめ、公表した。不動産取引ではこれまで、賃貸や売買する不動産で過去に生じた人の死について、宅地建物取引業者による調査や告知に関する判断基準がないことから、円滑な流通や安心できる取引が阻害されているとの指摘が多かった。同ガイドラインでは、宅地建物取引業者が、売主・貸主に対して、過去に生じた人の死について告知書等に記載を求めれば、通常の情報収集としての調査義務を果たしたものとするなど、宅地建物取引業法上、宅地建物取引業者が負うべき義務の解釈について、判例や取引実務等を踏まえ整理している。

調査に関しては、宅地建物取引業者は自発的に行う義務は無いとする一方、売主・貸主に対して故意に告知しなかった場合等には、「民事上の責任を問われる可能性がある旨をあらかじめ伝えることが望ましい」などとした。
告知に関しては、原則として、人の死に関する事案が取引の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる場合には告知しなければならないとした。

ただし、①自然死・日常生活の中での不慮の死（以下、自然死等）、②集合住宅の共用部分で発生した自然死等以外の死、特殊清掃等が行われた自然死等が発生して概ね3年間が経過した後、③通常使用しない集合住宅の共用部分で発生した自然死等以外の死や特殊清掃等が行われた自然死等――などについては、告知しなくても良いとした。
その上で、事件性・周知性・社会に与えた影響等が特に高い事案や、買主・借主が把握しておくべき特段の事情があると認識した場合等は告げる必要があるなどとした。