旭化成ホームズ(東京都千代田区)くらしノベーション研究所はこのほど、自社で提供した戸建て住宅の開口部などの修理記録を元にした、過去15年間の侵入被害についての調査結果をまとめた。
それによると、侵入被害に遭った住宅の約6割が、敷地の1辺のみが道路に接する中間画地だった。このうち1階からの侵入であり、侵入開口部の場所が特定できたものについて、建物の面を正面、側面手前、側面中央、側面奥、背面の5つに区分して集計を行った。その結果、道路からみて建物奥(側面奥と背面)に被害が集中する傾向があるものの、その数は過去15年間で大きく減少していることがわかった。建物の側面から奥に不審者を入れないように外構を施す「ゾーンディフェンス」が普及した効果と考えられるとする。
開口部への侵入被害を侵入手段別にみると、防犯ガラスでは「ガラス割り」の被害が減少した一方、「こじ開け」の比率が高まった。普通ガラスでは、「こじ開け」よりも「ガラス割り」のほうが多かった。なお、人が通れない幅の「スリット窓」からの侵入は無く、また、地盤面から高さ2mを超える「高窓」からの侵入被害も極めて少なかったことから、これらの窓は防犯効果が大きいとする。
勝手口からの侵入被害状況では、格子付きの上げ下げ窓が開いている(無施錠)状態での被害が多く、これを狙ったと思われる未遂例も多数見受けられた。また、面格子が付いている窓への侵入リスクは面格子がない場合と比較し3分の1程度だっが、浴室において面格子があるが窓自体が開いている状態での侵入が多かったことから、格子付きでも窓は閉めるといった、居住者側の防犯意識の啓発が大切だとわかった。シャッター付きの窓については、シャッターを破壊しての侵入被害は15年間で7件だったのに対し、シャッターが空いていた状態での侵入は219件だった。
調査時期は、2006~2020年(15年間)。調査対象数は833件。
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