個人向けにホームインスペクションなどを提供するさくら事務所(東京都渋谷区)はこのほど、2019~20年に行った木造住宅の新築工事現場チェックで、構造部の検査を行った182件のうち、82%に当たる150件に施工不良が見つかったことを明らかにした。接合金物の付け忘れ、耐力面材の施工時に釘を打ち忘れるなどのミスが大部分を占めており、人手不足から現場管理が十分になされていない状況がうかがえるという。
検査で見つかった施工不良は軽微なものから、耐震性に関わるレベルまでさまざまだが、全体の37.9%を占めるのが「接合金物の設置不足」だ。必要な場所に施工されていない物件のほか、耐力不足の製品が使われている、取り付け用のビスが指定とは違う、仮止めのままになっているなどのケースも見られた。
近年、特に増えているのが、耐力面材を留め付ける釘の施工不良。金物を上回る41.7%で、釘のうち忘れやピッチの間違い、めり込みなどの事象が確認されている。
同社経営企画室室長でプロホームインスペクターの田村啓さんは、原因を「筋交いの代わりに普及した面材に、まだ慣れていない大工が一定数存在するから」と推測。現場監督にも「そこまで深刻なミスだとは考えていない人が多い」ため、是正されないまま工事が進んでしまった結果ではないかと見ている。
人手不足と忙しさで管理が不十分に
検査で明らかになっている施工不良は、施工者が「忘れていた」、つまりケアレスミスによって起こったものがほとんどだという。ただ、人がミスをするのをゼロにするのは不可能に近い。
問題はむしろ「人材不足の影響で、現場監督によるチェック機能が働いていないこと」だと指摘する。未経験者の入職が増えたうえ、建築の専門教育を受けていても、施工は現場で学ぶケースが多いため、OJTに頼らざるを得ない。また、業務の多様化で、現場監督は多忙になる一方だ。・・・・
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