木造住宅の耐震・耐風性能を高めるには十分な耐力壁が必要だ。一方で、昨今の住宅には開放性も求められる。これらを両立させるのが、高倍率の耐力壁や水平構面。そこで注目されるのがAパネだ。大判で施工性がよく、あらわしによる独自の意匠が可能となる。この新しい素材の活用方法を紹介する。
Aパネとは、山佐木材が製造するスギ材による36mm厚のCLTパネル(直交集成板)。規格寸法は910×2730・3000・3640・4000mm、1000×2730・3000・3640・4000mmの8種類だ。販売元は岐阜市の後藤木材で、全国に流通している。この材料を木造在来軸組の躯体に釘どめして壁や床、屋根を固めるのがAパネ工法だ。阿部建設が中心となり開発された。
壁倍率と床倍率を取得
開発の際に重視したのは汎用性だ。「36mmと厚みがあることもあり、釘の仕様によっては壁倍率8倍くらいになる。あまり高倍率になると柱脚金物が大きくなり、基礎にも負担が掛かる。壁倍率5倍以下を目指した」と阿部建設社長の阿部一雄さんは説明する。
試行錯誤の結果、Aパネは910mmを基準とした尺モジュールで4.2倍、1000mmを基準としたメーターモジュールで4.5倍の耐力壁認定を取得した。Aパネとほかの耐力壁と組み合わせる場合、5倍を限度に倍率を加算できる。許容応力度計算などの構造計算を行う場合、さらに高い倍率の評価が可能になる。
耐力壁の認定条件は、壁勝ち仕様かつ大壁仕様だ。「真壁仕様は受け材が必要となり、断熱材の納まりもよくない。大工が間違えないように外側から釘だけで固定できるようにしたかった」と阿部さんは話す。
もう1つの認定条件が・・・・
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この記事は定期購読者限定の記事です。続きは、『新建ハウジング別冊・プラスワン4月号/令和流・高性能住宅~いま求められるレジリエンス性能~ P.42~』(2020年3月30日発行)に掲載しています。
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