騒音は、人間の健康に被害を及ぼす。WHO(世界保健機関)による欧州の調査では、騒音による健康被害を、空気汚染に次いで2番目に大きな公害と位置付けた。騒音は人間にストレスを与え、循環器系や代謝システムの機能を弱める。
ドイツ環境省が1700人のベルリンの高齢者を対象に行った調査(2003年)によると、騒音レベル55dB以上の寝室で寝ている人は、高血圧で医者にかかるリスクが、50dB以下の寝室で寝ている人の2倍以上ある。また同じく環境省の別の調査(2004年)では、日中の交通騒音が65dB以上の住居に住んでいる高齢者男性が、騒音60dB以下の住環境の同年代男性より、心臓発作リスクが20~30%高いことが確認された。
ドイツでの建物の建設においては、遮音に関する規制「DIN4109」があるが、これは省エネルギー規制よりも歴史が長く、1944年からある。
当時、集合住宅の界壁に求められていた空気音の遮音性能(D値)は、周波数100~3000Hzの領域で48dB以上と、現代の基準と大差はない。現行のDIN4109は2018年改訂のものであるが、界壁だけの遮音基準だけを義務付ける日本の建築基準法に比べ、外の騒音(交通など)に対する遮音性能から、界壁、界床、階段、ドア、機械設備での遮音性能まで、広範囲に及ぶ最低基準が定められている。
断熱性だけでなく
遮音も追求
外の騒音に対して求められる躯体の遮音の部分では、窓の性能が重要になる。実質的に、D値が35dB以下の窓は、使用することが難しくなっている。今の新築住宅では、ほとんどの場合、トリプルガラスの窓が使用されているが、D値40-45dBのものが多い。
日本からドイツに視察に訪問される方がよく「ドイツのドアは重くて、開けるのに力がいる」と言われるが、これも、ドアに求められる断熱性能だけでなく、遮音性能にも起因する。
また、エコロジカルな・・・
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