基礎断熱を採用する場合、基礎外断熱とするほうが、断熱性能の点からも基礎の熱容量を利用する上でも有利だ。問題はシロアリ対策。千葉県で基礎外断熱の家を20年以上手掛けてきた、ちば山真童舎の中村真也さんのシロアリ対策手法を紹介する。
断熱工法を問わず、基礎にはシロアリの進入路になる隙間がある。打ち継ぎや貫通部だ。まずはこの隙間をなくすことに注力する。基本は以下の5点。
①基礎立ち上がりは地面から400mm以上を確保
②設備配管や排水管、給水管はベタ基礎スラブの上に転がし配管とし、基礎スラブを貫通させない。貫通させる場合は地盤面から50mm以内の立ち上がり部で貫通させる
③水抜きパイプは設けない。上棟前に排水すれば水抜きパイプは不要だ。万が一台風などで床上浸水した際には点検口から水中ポンプで排水する
④木片や木の根っこなどシロアリの餌になりそうなものを完璧に排除する
⑤玄関・勝手口ポーチ、犬走りは基礎と縁を切り、十分に距離を離して打設する
これらは基礎とつなげることが多いが、構造が異なるため境界で亀裂が発生してシロアリの侵入経路となる。
物理的にシロアリを排除
基礎外断熱の場合、シロアリを寄せ付けないように、中村さんはさらに慎重に対策を施している。まずは基礎のベースと立ち上がりの打ち継ぎ部からシロアリが入らないようにする。従来、ベタ基礎の施工では底盤を打設した後、セパレータを打ち継ぎ部分にセットして立ち上がりの型枠を組んでコンクリートを打ち込む。打ち継ぎ部のセパレータは打設後に取り外せないので、セパレータに沿って貫通した穴が残る。その部分がシロアリの侵入経路になりやすい。
侵入を防ぐには、底盤と立ち上がりを一体で打つ。現在ではそのための専用治具が製品化されているので、それを用いるのが簡単で確実だ。室内側の型枠を浮かしてセットできるような形状になっており、従来の底盤と立ち上がりの2度打ちのように、屋外側と屋内側を貫通する穴をつくらずに底盤と立ち上がりを一体で打てる。
断熱材の選択も重要だ。基礎外断熱における立ち上がり部の断熱材は、シロアリにとってスラブと立ち上がりの打ち継ぎ面や土台下端をつなぐ絶好のバイパスとなる。
基礎断熱に用いる断熱材にはシロアリが食い破らない材質が必要だ。「かつてはホウ酸を含浸させたEPSの防蟻断熱材を用いていたが、少し前からシロアリが物理的に食い破れない発泡ガラス断熱材に切り替えている」と中村さんは話す。だが最近になって輸入していた建材商社が取り扱いをやめてしまった。「今後は高額だが炭化カルシウム系やポリカーボネート系の硬い断熱材とするしかない」(中村さん)・・・・
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続きは、『新建ハウジング別冊・プラスワン4月号/令和流・高性能住宅~いま求められるレジリエンス性能~ P.40~』(2020年3月30日発行)に掲載しています。
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