イギリスの調査会社・The Business Research Company(グレーター・ロンドン)が、このほど発行した市場調査レポート「林業・伐採業の世界市場レポート2021 COVID-19の影響と復旧」によると、林業及び伐採業の世界市場は、2020年から2021年の間に年平均成長率(CAGR)4.4%で成長し、5359.6億米ドル(約59.57兆円)から5594.7億米ドル(約62.18兆円)に達すると予測した。年平均成長率7%で成長を続け、2025年には7265.1億米ドル(80.75兆円)に達する見通しだ。
新型コロナウイルスの感染拡大による影響で事業に制限が生まれていたが、企業が体制を立て直し、コロナ禍の影響からある程度脱したことにより、市場に成長がもたらされるという。
林業・伐採業にとって、政府による厳しい規制は市場の成長を阻害する大きな要因だった。森林伐採によって引き起こされる自然災害を防止し、森林の保護・保全を促進するため、世界中の国で自然林の伐採に制限が課されている。
2013年にEUではEU木材規則が施行され、2017年、中国では自然林の商業伐採の禁止が決定されている。これに対し、林業者・伐採業者は森林伐採方法の技術を磨くことで安全性や生産性を向上させ、森林へのダメージを最小限に抑える努力をしている。調査によると、伐採方法が改善されたことにより、残存木へのダメージを20%に抑えたうえで、木材の生産量を30%増やすことができるようになった。
世界の林業・伐採業市場における主要なプレイヤーは、Forestry Corporation(オーストラリア・ニューサウスウェールズ)、Hancock Victorian Plantations(オーストラリア・メルボルン)、Weyerhaeuser(アメリカ・ワシントン州シアトル)、Scottish Woodlands Ltd(イギリス・スコットランド・エディンバラ)、Tilhill ForestryLtd(イギリス・スコットランド・スターリング)の5社。今後は、高い競争力を背景にした技術開発による、伐採方法の更なる改善が期待される。
シカゴ・マーカンタイル取引所(アメリカ・イリノイ州シカゴ)における材木先物価格は、5月初旬に1000ボードフィートあたり1600米ドル(約17.8万円)以上まで高騰したのち、下落に反転。一時は400米ドル(約4.4万円)台まで落ち込んでいた。その後はじわりと値を戻し、627.50米ドル(約7.0万円、10月1日)まで回復した。
コロナ禍と低金利の住宅ローンにより過熱した住宅市場に振り回される林業・伐採業市場だが、全体としては持続的な成長に向かっている。
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