近年、規格住宅や価格帯の異なるサブブランドを展開する工務店が増えている。サラホームの名称で注文住宅を手掛ける桜建築事務所(神奈川県愛川町)は、並行して規格住宅や外形固定のセミオーダー住宅を展開。高性能化に伴う単価アップが原因の失注を、より手ごろな価格設定の商品によって減らす。一方、ブランドはひとつに統一し、性能面では商品を問わず、全棟高水準であることを訴求する。
2000年代はローコスト住宅を中心に展開していた桜建築事務所だが、2011年、LIXILのスーパーウォール(SW)工法に加盟し、高性能住宅に取り組み始めた。しかし、受注に至るのはローコストばかり。2年間はSW工法がゼロ棟だった。
原因は単価で、ローコストの顧客層は、単価が200~300万円アップする高性能住宅を敬遠する。営業担当者も、契約しやすいローコストを勧めたがるからだ。
しかし、高性能住宅を選んだ顧客からは好意的な声が多数寄せられる。社長の熊坂利幸さんは「高性能住宅こそお客様が求めているものだ」と、確かなニーズを実感。意識的に高性能住宅へのシフトを図り、実績も増えていったが、全体の受注棟数は2割ほど落ち込んでしまった。
注文の感覚が規格住宅の妨げに
失注を防ぐため、まず打った手が規格住宅だ。プランやデザインを限定してパッケージ化した「レスモア」を、商品ラインアップに追加。断熱も、SW工法より安価なグラスウールも選択可能とし「価格が4段階で下がっていく」ように設定した。
しかしレスモアは、思うように成果が上がらなかった。熊坂さんは「注文住宅メインの工務店に、規格住宅はうまくはまらない」と話す。最大の理由は「営業や設計が、お客様の要望を重視している」から。変更しても、定額制なので価格を上げられず、粗利が削られてしまう。
ニーズに応える「外形固定」
2020年には、全棟をSW工法に統一。しかし・・・
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