三井不動産(東京都中央区)は、青木茂建築工房協力のもと、東京大学と共同で、既存躯体を再利用する「リファイニング建築」のCO2排出量削減効果の評価を実施した。現在、リファイニング建築計画中の1971年築の賃貸住宅(新宿区)を対象にCO2削減効果を検証した結果、既存躯体の約84%を再利用することにより、既存建物を同規模に建替えた場合と比較し72%削減できることが判明したという。
一般的に建物建設においては、既存建物の解体後、新たな躯体建設にともない調達される鉄やセメントなどの建築資材の製造時に多くのCO2が発生する。リファイニング建築では既存躯体を再利用するため、建替えよりCO2排出量の大幅削減が可能となる。そこで同共同研究では、製造、運搬、施工の段階のうち、最も削減効果が大きい製造段階に注目し、リファイニング建築時に使用される建築資材量を算出し、資材の製造時に排出される CO2排出量を試算。建替えの場合も同様に算出し、比較することで、同建築手法の削減効果を検証した。
その結果、建替えの場合、躯体の資材製造に伴うCO2排出量が1761tであるのに対して、リファイニング建築では40tとなり、全体でCO2排出量1721t(約72%)の削減効果があることが判明した。
同建築手法では、建物寿命を新築同等とするため、躯体の調査、補修を実施したうえで耐震性能を現行法規レベルまで向上。また、竣工後の運用時エネルギーも新築同等とするため、サッシ交換や断熱改修などを実施している。
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