清水建設(東京都中央区)はこのほど、グラデーション色のコンクリートベンチを3Dプリンティングで造形する技術を確立したと発表した。同社が3Dプリンティング用に独自開発した繊維補強モルタル「ラクツム」を使用したもの。同技術で造形したカラーベンチは、2022年春の開業を予定している複合開発街区「ミチノテラス豊洲」の外構に3基設置される。
プリント材料には、ラクツムに顔料を混練した「カラーラクツム」を使用。材料押し出し方式の3Dプリンティング装置に色調の異なるカラーラクツムを順次投入し、波面をモチーフにデザインされた自由曲面形状の背もたれ付きベンチを約3時間で一括印刷した。
ラクツムは、通常のモルタルに用いるセメントと砂に、長さ6mmの合成短繊維、高性能減水剤、シリカフュームなどの混和材を付加した繊維補強セメント複合材料で、形状を保持したまま2m以上の高さまで積層できる。ラクツムのプリント造形物は高い耐久性を備え、積層面が目視で確認できないほど一体化する。劣化の原因となる水や空気の侵入を助長する気泡や空隙は内部にほとんど生じないという。また、顔料を混練した際の発色がよく、任意の色合いにカラーリングできる特性も備えている。
一方、ラクツムの積層に利用する3Dプリンティング装置は、産業用ロボットアーム、制御ソフト、材料移送ポンプ、ノズル、レーザー距離計で構成。造形物の3次元CADデータから自動生成されるロボット制御プログラムに基づいて印刷を行う。
同技術を用いることで、在来工法では実現困難だった自由曲面形状も造形物の3次元データさえあれば容易に構築できるため、意匠の表現の幅が大きく広がる。
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