新建ハウジングが運営する工務店向けオンライスクールサイト「チカラボ」から、工務店の経営者や実務者に役立つ記事をお届けします。
今回は、青木隆行さんの「工務店リアル経営」ルームからの記事です。
株式会社ソルト(SOLT.)代表取締役。経営アドバイザー/MBA。1972年・山口県防府市生まれ。2002年~2019年まで、株式会社銘建(MEIKEN)代表取締役。さくら銀行(現三井住友銀行)を経て、家業であった工務店を事業承継。銘建では、『ライフスタイル型工務店』『一気通貫経営』を提唱。事業規模を2.7億円から23億円へ拡大。2016年より多角化(機能回復型デイサービス・不動産賃貸・民泊・食品物販)展開。2019年M&Aにより事業譲渡。現在は多角化した会社を経営しながら、経営アドバイザーとして全国の工務店・中小企業への支援を行っている。
[第9回] 地域工務店の経営戦略の実例④
「移動式展示場戦略・ドミナント戦略」
ソルトの青木隆行です。今回も「地域工務店ならではの経営戦略を立てよう!」の実例シリーズの続きをお伝えします。今回はその4つ目で、「移動式展示場戦略」および「ドミナント戦略」がテーマです。
さっそくですが今回のポイントです。頭の片隅に置きながら読んでみてください。
【POINT】持続可能な次の一手は何か?
今の活況は続かない。持続可能な地域工務店になるべきタイミング
コロナ期において住宅着工棟数は伸びを見せています。私のアドバイザー先でも順調に受注を伸ばしている地域工務店は多くあります。特に7月以降の集客や受注が好調で、ある工務店では過去最高の新規集客を獲得したという話さえあります。
既知の通りコロナ期のライフスタイル・ワークスタイルは「おうち時間」「リモートワーク」などへ変化しました。オンライン化が進むと同時に、自宅での滞在時間が長くなったことが住宅需要を刺激した形です。上場ハウスメーカー各社のIRからも住宅業界は間違いなくコロナの恩恵を受けている事が分かります。
しかし、この活況がいつまで続くかは分かりません。中長期的に見れば需要先食いによるリバウンド減もあると思いますし、人口減少による住宅着工棟数の減少時代は確実にやってきます。またコロナによる財政出動は国にとってかなりの痛手であり、各種税制優遇制度もどうなるか分かりません。コロナがきっかけでデジタル化は大きく進み、都市部から地方への移住もあるとは思いますが、それも軽井沢など特定の地域だけで他は限定的でしょう。つまり、今の活況はいつまでも続かないというシナリオで考えておいた方が得策です。
業績好調時は成長を意識する事が多いですが、これはいずれ来る不況に対して準備をする期間とも言えます。『安きに居て危うきを思う(春秋左氏伝)』といわれるように、今のタイミングで持続可能な地域工務店づくりのために戦略転換を図っておくべきかも知れません。その事例が「移動式展示場戦略」と「広義のドミナント戦略」です…
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