社外の職人・協力業者が多数出入りする現場をとりまとめるのは大変だ。現場管理を効率化するツールも多数リリースされているが、ツールを使えば生産性が必ず向上するのか――
扇建築工房(静岡県浜松市)の社長・佐藤友也さんは根本的な疑問を投げかける。佐藤さんは“不要なことはやらなくても済むように”が真の効率化だと捉え、現場監督と大工の役割を見直すことで現場の生産性を高めている。
発注や拾い出しは大工の仕事に
現場監督の本来の役目は「現場を管理すること」。しかし、佐藤さんは「現場監督が担当する業務が、工務店によってまちまち」なのが現状だと見る。資材の運搬、清掃、果ては雑工事まで現場監督が担当しているケースも少なくない。
現場監督を、現場管理に集中させるにはどうすればいいか。佐藤さんが着目したのは大工の存在だ。木造住宅の現場で中心的な役割を担う大工の仕事に「監督の業務の一部を組み込む」ことで、余計な業務を監督にさせないようにした。
まず、監督が1日かけてやっていた造作材の拾い出しを、大工に移管。資材の発注および現場への搬入も、大工の役目に。加えて、必要になったらその都度発注していたのを、事前の打ち合わせで全てを決め、先にまとめて発注するスタイルに切り替えた。搬入のタイミングだけ、大工が建材店と連絡を取り合って決めている。
監督は、拾い出しの時間や、何度も発注の電話を掛けたり、搬入時に現場に行く手間が省ける。慣れてくれば、監督が現場に行くのは月に1~2回で、あとは電話、もしくはメールでも問題は全くない。複数の現場で搬入のタイミングが被った場合、工事が滞るようなこともなくなったという。
さらに、佐藤さんは間接的なメリットとして「予定が立てやすくなる」ことを挙げた。スケジュールが正確に進行することで「突発的な事態が起こりにくくなった」
コミュニケーションは量より質
現場管理を効率化することの本質は「やりとりを減らすこと」だと佐藤さんは言う。同社では、職人・業者との打ち合わせは、1 ~2週間に1度の定例会議だけを原則としている。
打ち合わせの回数が多ければいいわけではない。重要なのは「その週にすべき仕事を読む」こと。やるべき仕事の内容がきちんと伝わっておらず、何度も連絡するのは、時間を浪費しているに過ぎない。
導入工務店も多い現場支援アプリも・・・・
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