家具はプランや空間のあり方に大きく係わってくる。空間の大きさや形の制約があるマンションリノベーションの場合はなおさらだ。「木の家リノベーション」の第一人者であるマスタープランの小谷和也さんによる、家具で空間を整える手法を紹介する。
家具は寸法整理が大事
造作家具の多くは収納だ。収納は壁がないとうまく納まらない。壁をつくると空間が狭くなり、動線の制約も受ける。動線と家具を一体で考えると、人が通れるスペースができ、効率的な間取りとなる。動線と家具を一体で考えるには寸法の整理が重要だ。奥行をそろえることで合理的に配置できる。
キッチンでは流し台とカウンターを組み合わせると奥行900mmとなり、トイレとそろう。冷蔵庫は食器棚と並べて置きがちだが、そうすると奥行が揃わずスペースが無駄になる。冷蔵庫を収納と組み合わせることで奥行900mmとなり、流し台+カウンターと揃ってくる。同様に洗面台や洗濯機など奥行きが似ているものを並べると壁面が揃いプランがまとまりやすい。
置き家具を造り付けに見せる
住宅は住んでいるうちに使い方や家族構成が変わる。数十年間にわたって空間を無駄なく使うには、間取りの変更が予想されるスペースを置き家具で構成しておくと、変化に対応しやすい。このとき有効なのが、小上がり収納や間仕切り収納、ソファだ。小上がり収納は、床に置く引き出し式の収納で、複数個並べて天板に置き畳を置くと小上がりとなる。
小上がり収納はシナランバーコア18mm厚で箱を組み仕上げる。収納の縦横の寸法は700mm角の置き、畳1枚分が基本となる。以前は半畳分を1つにしていたが大工手間は寸法より個数(工数)で決るため、省力化のために今の寸法になった。小上がりの奥のスペースや畳寄せも収納を備えた家具とする。この部分は引き出しではなく天板が蓋になっている。小谷さんは床材にスギの厚板を用いるため、小上がり収納の引き出しに戸車は使用しない。開閉時に傷が付くからだ。その代わりに引き出しの裏に「カグスベール」などを貼って摩擦を低減させる・・・・・
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この記事は定期購読者限定の記事です。続きは、『新建ハウジング別冊・ワンテーママガジン2021年1・2月合併号「空間の質を高める造作家具・建具」 P.56~』(2021年1月30日発行)に掲載しています。
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