社員3名以下の工務店の場合、マルチタスクの社員が設計から施工までを1人でこなす。世間の分業化の流れには逆行しているが、実はこの規模では合理的だ。一級建築士2名で運営する菅沼建築設計代表の菅沼悟朗さんに独自の管理手法について聞いた。
ポイント1
設計者が管理を兼ねる強み
小規模工務店は設計者が施工管理を兼ねる。同社の場合、 設計は菅沼さんとスタッフの森山郁子さんの2名で完結
➡外注に出していないので図面の不整合が起こり得ない
プランは共同で行い、構造や断熱気密、雨仕舞いは管理を含めて菅沼さん、設備やインテリアは森山さんの担当
➡設計者が管理まで担うことで最小限の図面で管理が成立する
ポイント2
設計を単純化すると管理が楽になる
同社は箱型のボリュームに切妻の屋根を掛けた設計が多い。ルーフバルコニーを避けて既製品の持ち出し式のアルミ製ベランダを採用
➡経済的で不具合が出にくい設計を追求した結果、施工チェックの要素も減り、管理の省力化にもつながった
既製品も積極的に使用して省力化につなげている
➡板金の外壁ではなく金属サイディング、木材を加工したサッシ枠ではなく既製品の枠、特注の木建ではなく既製品の室内建具、造作キッチンではなくシステムキッチンを多用
窓枠1つでも手間は変わる。木材で製作する場合、寸法を測って、縦勝ちか横勝ちかを決め、面を取り、アングルじゃくりの加工をする
➡既製品のサッシ枠は嵌めれば終わり。施工チェックから解放される
この手法が有効なのは同社が質感の強い空間づくりをしているため。構造の一部をあらわしにし、スギの床板と建て主DIYによる漆喰壁で仕上げるのが基本だ
➡既製品を組み合わせても味気なさはなく、個性を保ちつつ省力化できている
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【残り3376文字、写真・図など30点】
続きは、『新建ハウジング別冊・ワンテーママガジン/スマート経営に必須の補助金・助成金活用ガイド P.162~』(2021年5月30日発行)に掲載しています。
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