◆工務店営業、よくある課題
1)受注棟数が目的になってしまう
自社も含め、いろんな会社が陥りやすい失敗は、受注棟数を追うことが目的になり、売れればいいと考えて本質を見失ってしまうこと。自分たちの理念、成し遂げたい世界観が不明確な会社ほど、営業マンのスキルに依存した会社になってしまう。受注がとれないから値引きする。受注目標が達成すると目標を失い、組織分解に陥ってしまう。
受注が急激に伸びることは、実は会社にとって様々なリスクが起こりやすい。営業マンは「契約したら終わりなのか」と思われて顧客の不信感を招き、ささいなことでもトラブルが起こりやすい。現場も急激に受注が増える現場の管理が追いつかず、現場のミスが起きやすい。そうした関係の希薄化や施工ミスが続けば、顧客の満足度が下がり、最終的に営業も機能しなくなってしまう。
工務店は本来、つくることと、売ることを同時進行でやらなければいけない、複雑な業態。この両面をバランスよく強化するという意識を持たないと、実態がついていかない。
2)過去の成功に囚われ変化できない
市場が猛烈な速度で変化しているにもかかわらず、過去の成功に支配されて、これを続ければ大丈夫なんだと、変な固定概念に支配されてしまいがち。
私が住宅会社を起業した頃は、まだまだ紙の時代。イベント告知は折り込み広告をやっていた。たが、この5年間で、折り込み広告、ポスティングを辞め、オンラインへと切り替えてきた。それによって成果が極端に落ちることはなく、むしろその時代に合わせて変化したことで、集客の量も質も上がっている。
変えていくことは恐怖。折り込み広告やポスティングでも1~2組は契約できるならいいと、既存の手法を残したまま、新しい取り組みを追加してしまう。これが予算を圧迫していく。
13年会社は成長を続けているが、その成果を生んだ最大の要因は動きを止めず、変化し続けてきたこと。私は自分たちがやっていることが完ぺきではないことを認識しているので、むしろ変化しないことの方が恐い。常に変化していることで自社の経営に自信がもてる。
3)目標設定の定め方を間違えている
意外と多いのが、目標設定を間違えていること。壮大な目標を定めてしまうと、それを達成するためにどう行動するかが分からず、結果行動に移せない。結果として目標達成もできず、最終的にはモチベーション低下に繋がってしまう悪循環に陥ってしまう。私も創業当初は試行錯誤の連続だった。
振り返って原因を考えると、結局、事実を把握し、仮説を立て、計測によって改善する、というサイクルができていなかった。ここ数年、このサイクルが回り始めたことで、チャレンジすればここまでできる、ということが肌感覚で分かってきた。経験をもとに割り出した予測が、実績に近づいていくのを実感できるようになる。
◆バックグラウンド
三重県菰野町で大工工務店の次男として生まれ、高校を卒業して12年大工修業をしたのち、三重県四日市市にある工務店の子会社で現場管理を専門に行う会社の社長を務めたのち、大工工務店としてハウスクラフトを創業した。現在13年目を迎えて従業員70名(うちパート14名)を擁する会社に成長している。
一人で創業した当初から、できることはすべて自分でやるという体制で、創業2年半は職人と一緒に造成・基礎・大工工事にも入りながら、お客さんとの打ち合わせまでを自分でやっていた。つくる能力はあるのに、依頼を受ける能力がない。その試練をどのように克服してきたか。その変遷をリアルにお伝えしていきたい。
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