屋根と外壁は雨漏りや結露が生じやすい部位である。屋根材・外壁材といった一次防水と通気層と透湿防水シートで構成する二次防水を機能させるポイントについて、第一浜名建装(静岡県浜松市)代表の久保田仁司さんに聞いた。
計画時から風雨の影響を考慮
雨漏りは風雨の強さや方向にも影響を受ける。風向は地形とも関係する。たとえば丘陵地では、風向きによっては斜面の下から上に向かって巻き上げる強い風が吹くことが多い。風向きに正対して家を建てるとその面に強い風が当たり、圧力差により雨漏りが起こることもある。また風雨は壁面に当たると周辺を迂回して通過するため建物の一面に均一に雨が当たるのではなく外縁部への雨当たりが多い。
敷地の風雨の傾向を掴むには、敷地から一番近い観測地点の年間気象データが参考になる。一定量以上の雨が降った日の風向きを見ていくと、降雨時の風向きが掴める。その方位に弱点となる要素をつくらない(配置しない)ようにしたい。
日射も間接的に雨漏りに影響する。熱や紫外線で外装材やシーリングが劣化しやすくなる。特にシーリングの劣化は雨漏りに直結する。日当たりがよく、強い風雨を受ける面は雨漏りのリスクが特に高くなる。軒を出すなど日射や雨掛かりへの配慮が必要だ。
外壁通気層を機能させる
外壁材は一次防水の役割を担うが、防水性能は完全ではない。二次防水を担う通気層と透湿防水シートが重要だ。まずは透湿防水シートの選択からだ。推奨品はタイベックだ。ほかの表面にフィルムを貼った2層構造の製品は総じて劣化しやすい。悪条件が重なると最短で半年程度でフィルム層が剥離して防水機能が損なわれる。透湿防水シートは熱の影響で傷む。建物上部ほど通気層内の温度が高く、透湿防水シートも傷みやすい。同様に土台水切り近くも温度変化が大きいため透湿防水シートが傷みやすい。透湿防水シートは施工精度も重要だ。施工後に風の影響でたわまないように、テープだけに頼らずに胴縁で押さえたい。・・・・・
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続きは、『新建ハウジング別冊・ワンテーママガジン/暮らしをアップデートする 高性能住宅 P.77~』(2021年3月30日発行)に掲載しています。
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