YKK AP(東京都千代田区)は9月2日、ワールドハウジングクラブ(WHC、東京都中央区)および一般社団法人LIVING TECH協会(東京都渋谷区)と共働し、「真鶴(まなづる)の家」プロジェクトの実棟モデルを公開した。
同プロジェクトは、各分野で専門的な知見を持つパートナーとともに理想の住宅を体現するコンセプトモデルづくりとして2020年に発足。建設業界や生活者の課題を解決する手法やプランを検討してきた。
建設業界の職人不足と高齢化が進む中、窓の高性能化に伴う重量化が施工者の負担となっているとして、省施工・工期短縮に貢献するパネル住宅に最適な窓を研究開発。同プロジェクトでは、同社がパネル専用に開発した高性能トリプルガラス樹脂窓と、面材・断熱材を1つにしたWHCの高断熱複合パネルユニット「未来パネル」を採用した。両社の技術共働により、施工現場の作業効率を大幅に向上させ、約1週間の工期短縮を実現した。室内側からのパネル施工ができるため、狭小地でも安全かつ容易に施工できるという。また、現場での端材処理削減やパネル搬入のコンパクト化、配送回数の削減を実現した。「未来パネル」によるパネル化住宅は、WHCから高性能の住宅キットとして提供する。
コロナ禍による在宅ワークの定着など、ライフスタイルが変化し住まいに対するニーズや価値観の多様化が進んだことから、今回のモデルプランでは「職住一体」「スマートホーム化」を導入。在宅ワーク空間と住まい空間を明確に分けた間取りや、「衛生強化」のための玄関スペースの洗面、非接触設備の採用に加え、LIVING TECH協会監修によるスマートホーム化を実現した。さまざまなスマート家電や住宅設備をスマートデバイスと連携、パッケージ化したほか、デバイスや充電器を考慮した設計などを提案している。
「真鶴の家」実棟モデルは、購入希望者向けのモデルハウスとしてだけでなく、工務店・ビルダーなどプロユーザーが抱える課題解決に向けた提案の場としても活用する。なお、実棟モデル所在地の神奈川県真鶴町は、都心に約90分でアクセス可能な立地で、自然を感じるロケーションで住みながら働く「郊外居住」を体感できる。
同社は、複数のパートナーとの共創によりさまざまな技術やノウハウが凝縮された同プロジェクトを通じて、省施工や高性能・高断熱化に貢献するパネル化住宅の普及促進を支援することで、これからも社会課題解決に貢献するとしている。
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