経済産業省は、今年度にウィズコロナへの中小企業支援策として設けた「事業再構築補助金」について、来年度も継続する方針を決めた。経産省が8月31日に発表した2022年度の概算要求に盛り込んだ。要求総額は2021年度当初予算比11.9%増の1兆4026億円に膨らんだ。このうち、新規で25.4億円を「ものづくり等高度連携・事業再構築促進事業」で要求し、事業再構築補助金を組み込んだ。
事業再構築補助金は「攻めの補助金」とも言われている。主に設備投資などを対象にしている。新型コロナの影響が長期化し、中小企業が収益の柱としている事業の需要や売上の回復が厳しい中で、ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するため、業態展開や多角化を支援する。
中小企業庁によると、今年4月に第1回目の申請を開始し、応募総数2万2231件中、採択したのは8016件だった。採択件数に占める建設業の割合は6.7%。採択金額の分布を1500万円単位でみると、100万~1500万円が最も多く半分近い46%を占めた。
第2回目の結果は今後発表する。8月30日に申請受付を開始した第3回目では、これまでの条件を大きく緩和させているのが特徴だ。「最低賃金枠」を創設し、通常枠の要件に加えて、昨年4月以降のいずれかの月次売上高が、対前年または対前々年比で30%以上減少した事業者には補助率を3/4に引上げ、採択率などを優遇する。
補助額も大きく引き上げた。これまで通常枠の上限金額6000万円を、最大8000万円まで引き上げることを決めた。対象は従業員数が51人以上の事業者。これに加えて新たに「大規模賃金引上枠」を設け、従業員数が101人以上の場合には、補助上限を最大1億円とした。売上高は増加しているものの利益が圧迫され、業績が厳しい事業者をより多く支援するため、条件のひとつである売上高10%の減少要件は、「付加価値額」の減少でも満たすとした。
新建ハウジングの9月10日号では、「事業再構築補助金」特集を組む。第1回の採択を受けた地域工務店に取材し、その活用方針や新規事業展開などについて幅広くインタビューした。また、同補助金で事業者の支援を行い、実際に採択を取った中小企業診断士の諸勝文さん(イチコン代表取締役、大阪市中央区)に、採択率を上げるための手法や、これまでの審査から見えてきた傾向、申請受付をスタートさせた第3回目のポイントについて聞いた。
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