昨今、基礎断熱の普及や夏の冷房時間の拡大などで床下の結露が話題に上る。床下点検や防蟻処理を通じて、床下の環境をよく知る日本ボレイト代表の浅葉健介さんに床下結露の実態とシロアリ被害との関係を聞いた。
最近、同社では床下のカビに関する相談件数が増えている。調査のために床下に潜ると、湿った空気が床下に充満していることがよくある。調査を進めると土台や大引、床下地合板などで結露が発生していることが判明する。
基礎断熱の結露と床断熱の結露
なかには引き渡されたばかりの家もある。大抵は基礎断熱だ。基礎コンクリートが余剰水を出し切って乾燥するまで約2年。その間、床下は通気を促進する必要があるが、通気量が不足しているケースをよく見かける。工事期間中に雨に濡れたり、乾燥が不十分だと、リスクはさらに高まる。基礎から放出された水蒸気は土台や大引、床下地合板などで露点に達し、カビや腐朽に至ることがある。工事中は基礎に雨水を溜めないように養生し、建て方後はすぐに床下地合板を張らずに床下の乾燥を促すことが重要だ。
床断熱は床下が開放されているため、基礎の余剰水の影響は少ないが、別のリスクがある。夏の結露だ。昨今は夏に家を締め切って冷房するのがあたり前になった。またリモートワークの広がりで日中の在室時間も増えている。床下に暖かく湿った空気が入ると、エアコンで冷やされて床下地合板で結露する可能性がある。
床に防湿気密シートを張り、間仕切り壁の下部などに気流留めを施工するなど気密が取れていれば結露のリスクは減るが、関東以西の住宅で床の防湿気密施工を実施している事例は非常に少ない。床下に入った暖かく湿った空気が床下地合板の裏面や間仕切りのなかや間仕切り壁のなかに回る可能性がある。その部分がエアコンの冷気を受けやすい状況だと結露する可能性が高い。関東以西の住宅でも床の防湿気密は重要だ。
結露は木材の腐朽にもつながる。木材が腐朽する際に発生するガスはヤマトシロアリを呼び寄せるといわれる。実際、腐朽した木材はヤマトシロアリの食害を受けていることが多い。・・・・・
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続きは、『新建ハウジング別冊・ワンテーママガジン/暮らしをアップデートする 高性能住宅 P.72~』(2021年3月30日発行)に掲載しています。
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