コロナ禍と世界的なスポーツイベントをきっかけに、TOTO(福岡県北九州市)の水まわり商品とそれに付随する衛生・節水技術への評価とニーズが改めて高まっている。それらがどんな想い・ねらいで形になり、住む人の暮らしにどんなベネフィットをもたらすのか、知っているようで知られていない。今回は、4年ぶりにフルモデルチェンジしたシステムキッチン「ザ・クラッソ」にフォーカスし、製品開発者に同社のものづくりについて話を聞いた。テーマは「デザインとテクノロジーの融合」。その根底にはTOTOならではの設計思想「ノイズレスデザイン」があるという。
主張しない美しさ、使いやすさ、清潔さ
4年ぶりにフルモデルチェンジしたシステムキッチン「ザ・クラッソ」。テーマリーダーとして企画から関わったキッチン・洗面事業部 山野洋平さんは、表テーマに「リビング空間に調和するデザインとテクノロジーの融合」を、裏テーマに「明るく楽しく」を掲げ、18カ月の開発期間を経て製品化を果たした。
生活に馴染むデザイン
「まず心に決めたのは、デザインを絶対に妥協しないこと。リビングとキッチンを一体的に考える住まいがあたり前になりつつあるいま、住む人の暮らしと空間を融合させるデザインがお客様に選んでいただける大前提だと考えたからです」。
ここでもTOTOの設計思想である「ノイズレスデザイン」を追求。形や色で存在感を主張することなく、リビング空間と生活に溶け込むデザインを突き詰め、そこに水まわりメーカーの技術力を落とし込み、トータルで美しく使いやすく清潔なキッチンをめざした。
特に「クリスタルカウンター」の見せ方にはこだわったという。明るく柔らかな印象の透明素材「クリスタルカウンター」は、長年愛されてきたTOTO独自のアイテムだが、シンクや水栓、キッチン全体をシャープにまとめ上げていく中で、クリスタルカウンターについても透明素材を活かしたさらなる進化ができるはずと考えた。そこでクリスタルカウンターに初めて斜めのエッジを入れ、磨きを施すことでカウンターの輪郭にシャープな印象をもたらすとともに光を取り込んでこれまでにない表情を魅せることに成功した。
きれい除菌水をキッチンにも
長年培ってきた独自の水まわり技術も応用・進化させている。トイレで高く評価された「きれい除菌水」をまな板や包丁の除菌、網かごのヌメリ防止に応用。家族が直接口にする食品や食器を扱うキッチンだからこそ、洗剤を使わず、時間が経つとまた水に戻るという特性が大きな価値になっている。
また、幅広シャワーで鍋を回しながら洗える「水ほうき水栓」も、デザインとテクノロジーの融合だ。
かがまずに調理が完了
収納は、「腰を一度もかがめずにきんぴらごぼうがつくれること」を念頭に置いて開発した自信作。扉の割り方から引き出しの奥行きまで見直して使いやすさを向上。使用頻度が高いものを上段に、低いものを下段に配置する2分割構成とし、これを形にするため生産ラインも一から組み直した。
「デザインもテクノロジーも諦めることなく住む人の価値を追求できるのが TOTOの強み。要素技術の開発から応用まで、すべてを自社でまかなうからこそ実現できるのだと思います」
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