温暖地の高断熱化に伴い結露に悩まされる住宅が増えている。特にC値3.0 程度の中途半端に気密化された住宅の不具合が目立つ。断熱気密の調査経験が豊富な日本住環境の釣本篤司さんに気密不足が引き起こす不具合と対策を聞いた。
断熱気密に起因する不具合で最も多いのが資材や施工方法の伝達ミス。気密資材は工務店から支給して使い方を現場に伝えるとよい。社員や職人の意識を高めるには、現場を検証するのが手っ取り早い。監督以下、大工や電気屋、設備屋に参加してもらい、気密測定と風量測定、熱画像の撮影、煙試験を行う。
最も効果が高いのが煙試験だ。舞台用のフォグマシーンを床下や小屋裏に置き、レンジフードから排気すると室内が負圧になり、気密が取れていないダウンライトやコンセント周り、幅木や廻縁などから煙が出てくる。幅木などに風量計を当てると、風速2~3m/sになる。
一般に電気屋と設備屋は新しいやり方に理解がある。大工は目で見て納得しないと受け入れない。こうした検証が有効だ。営業担当者にも参加してもらう。実態を知ると見込み客への過剰表現を防げる。
防湿の意識不足も大きい。高断熱C値を高めて夏型結露を防ぐ高気密の基本は室内側を閉じて外部側を開放すること。寒冷地ではわずかな水蒸気の流入が命取りなので、原理原則が大切にされる。一方、温暖地では合板気密や現場発泡ウレタンが好まれ、防湿気密シートの施工は避けがちだ。
外壁側の透湿抵抗比が高くなると、温度差が少ない条件でも結露しやすくなる。外気温が15℃、室内20℃で結露する住宅もあった。温暖地においても防湿気密シートは・・・・・
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続きは、『新建ハウジング別冊・ワンテーママガジン/暮らしをアップデートする高性能住宅 P.70~』(2021年3月30日発行)に掲載しています。
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