ライナフ(東京都文京区)はこのほど、LIFULL(ライフル、東京都千代田区)とともに、不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」に掲載された架空広告「おとり広告」を自動的に非掲載にする取り組みを実施したと発表した。同取り組みは、不動産における物件情報の透明性・精度の向上を目的に、三菱地所ハウスネット(東京都新宿区)協力のもと行われた。
物件情報サイトに掲載される物件広告の多くは、物件を仲介する各仲介会社が定期的に物件確認を行い、手動で最新情報を反映させているため、タイムラグによって意図せず成約済みの広告が掲載されたままになってしまうことがある。その状態を悪用し、人気物件の広告をあえて掲載したままにして、意図的に問い合わせを増やそうとする悪質な広告を「おとり広告」という。こうした行為は禁止されており、物件の実在有無に関わらず、取引のできない物件や取引する意志のない物件広告などが該当する。
ライナフは、同社が提供するAIによる音声案内で物件の確認応対を自動化するサービス「スマート物確」と、LIFULLが運営する「LIFULL HOME’S」をシステム連携させることで、おとり広告を自動で非掲載にする仕組みを導入。「スマート物確」から得られる、管理会社が保有する入居の募集・非募集の情報を、LIFULL HOME’Sと照合することで、人の手を介すことなく物件広告を非掲載にできるという。
今回、スマート物確を利用する三菱地所ハウスネット協力のもと、スマート物確に登録されている約1万5000戸の管理物件を対象に実証実験を実施。1カ月で1000戸以上の非掲載対象の広告を検知し、非掲載処理を行った。東京都23区の副都心部エリアで、一人暮らし向けの物件が非掲載対象のボリュームゾーンだった。
同社は同取り組みによって、仲介会社は管理会社へ物確する手間と人為的なミスを削減し、業務効率化を図れるととともに、企業としてのコンプライアンスを遵守できるとしている。また、スマート物確とのシステム連携によって自動管理が可能になり、管理会社、仲介会社、消費者に対して、物件情報の透明性・統一性も保つことができるとしている。
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