建築デザイン領域のDX化を目指すtecture(テクチャー、東京都渋谷区)はこのほど、Coral Capital(東京都千代田区)など個人投資家を含めた8社を引受先とする総額約1.2億円の資金調達を実施したと発表した。2019年創業からの累計調達額は1.9億円となる。
同社は、建築家の谷尻誠氏、編集者の佐渡島庸平氏、開発者の川田十夢氏、同社代表の山根脩平氏が2019年に設立。建築デザイン領域のDX化を目指すスタートアップ企業で、設計・メーカー向けの建材・家具検索プラットフォーム「TECTURE」を展開している。デザイナーの作品事例に家具・建材の商品情報を埋め込むことで、作品事例(メディア)から商品情報(カタログ)までワンストップで検索できるため、カタログや設計図書をオンライン上で効率的に管理可能。サービス利用者は1万5000人以上、サービス導入設計事務所数は約200社に達している。
同社は今回の増資により、「TECTURE」の開発体制およびデータベース構築体制を強化し、さらなる事業拡大にむけて組織基盤を強化するとしている。
今回実施したアップデートでは、デジタルカタログとしての機能を大幅に強化。「建築をさがす」「家具・建材をさがす」の2つのタブで絞り込み検索を実装し、検索性を向上した。詳細検索では「防火」「防煙」「ホルムアルデヒド」など建築基準法に対応した建材を絞り込むことも可能。直感的な使いやすさだけではなく、プロユースの検索性に対応した。
同社は、メーカー各社の販促や空間デザイン、設計業務をサポートするだけでなく、家づくりやリノベーションを計画中のユーザーにとっても、利用価値の高いサービスアップデートとなったとしている。
建築・インテリア業界では、特に中小の設計・施工会社においてはデジタル化が進んでおらず、膨大な量の図面やカタログ、設計図書などの管理が必要となっているとして、同社は、コロナ禍により対面での営業・販売から脱却した新たな戦略の必要性が高まっているいま、同サービスをニューノーマル時代のニーズに応えるサービスとして提供。家具・建材メーカーは新しいオンラインPRプラットフォームとして、デザイナーはメディアから商品や自社資料を探せるオンラインカタログプラットフォームとして活用できる。
2022年春には、複数の主要専門誌5年分に相当する3500事例(約7万枚の写真)をデータベース化する予定。今後は「BtoB」の検索領域を拡大し、建物・家具・建材・設計図書・3Dデータなど空間に関するあらゆる検索・データ管理を可能にしていく。またコンシューマー「toC」へ向けたマーケットプレイスの展開を予定しており、2023年には日本最大級の空間デザイン検索プラットフォームとなることを目指す。
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