住宅生産団体連合会は8月23日、ハウスメーカーなど15社を対象とした「経営者の住宅景況感調査(令和3年度第2回)」を報告した。
令和3年度第1四半期の総受注実績は、9期ぶりにプラスになることが予想されていたとおり、受注戸数、受注金額とも92ポイントとなった。しかし、比較対象となる昨年同期が新型コロナウイルスによる初めての緊急事態宣言下での営業自粛など、売り上げが大きく落ち込んだ時期であることを考慮する必要がある。その中でも「テレワーク推進による戸建住宅需要の高まり」「WEB経由での集客が順調、スマート系オプション搭載率がさらに上昇」「グリーン住宅ポイント等の支援策による追い風」などとコメントがあり、コロナ禍での需要を確実に捉えて活路を見出していることもわかった。
令和3年度第2四半期の受注見通しは、受注戸数23ポイント、受注金額25ポイントと増加の幅は小さいものの2期連続プラスの見通しになったが、昨年同期が新型コロナウイルス感染症による落込みからの回復期であるため、大幅増にはならなかった。
部門別に見ると、戸建注文住宅は受注戸数93ポイント、受注金額88ポイントとなり、3期ぶりに大幅なプラスだった。第2四半期の見通しは受注戸数21ポイント、受注金額27ポイントとなり、増加幅は縮小しつつも2期連続で増加する見込みだが、「都市部での感染者数増」や「ウッドショックによる鋼材価格の高騰」など、先行きを不安視するコメントがあった。一方で「住宅ローン控除13年特例やグリーン住宅ポイントなど住宅支援策の期限が迫る」(5社)状況のもと、引き続き顧客の動きが活発になると期待するものもあった。
次に戸建分譲住宅を見ると受注戸数69ポイント、受注金額75ポイントと大幅なプラス。プラスは4期連続となった。「コロナ禍におけるテレワーク推進等で需要が高まっており販売好調」や「ファーストバイヤーを中心に需要堅調」など回答があり、新しい生活様式に対応して生まれた需要を積極的に取り込んでいることがわかった。注文住宅と異なり、「コロナで落ち込んだ昨年との比較で増加」は1件のみだった。しかし、来期は「昨年4~6月期の反動で7~9月が大きく動いたことから、今期の7~9月期は対前年マイナスになる見込み」といったことから受注戸数・受注金額ともに−13ポイントと、今期の大幅増から一転し、マイナスの見通しとなった。
■ZEH強化や大型にシフトする動きも
低層賃貸住宅は受注戸数86ポイント、受注金額82ポイントと、平成30年度第4四半期以来9期ぶりのプラスとなった。来期の見通しも「ウィズコロナの営業手法が徐々に蓄積・浸透」「大型物件へのシフト」「ZEH推進等の販売戦略強化」「需要は低調もニューノーマル仕様を訴求」などの理由から受注戸数22ポイント、受注金額25ポイントと2期連続でプラスの見通しとなった。
リフォームを見ると「グリーン住宅ポイントが追い風となった」、「計画を上回る回復」などの理由から受注金額92ポイントと大幅にプラスとなり、4期連続プラスとなった。来期も受注金額42ポイントと2期連続増の見通し。「ワクチン接種で心理的不安が払しょく」と経済正常化への期待感とともに、「テレワークの定着により近居・同居が増加し大型案件増」、「オンラインイベントの継続実施」などのコメントが見られた。
向こう6カ月の住宅市場について、今年1月に行った調査と比べると「所得の伸び」は、前回15社中14社が「下がる」と回答したが、今回11社が「変わらず」と回答。「資材価格」は、前回は「変わらず」が10社だったが、今回は15社中14社が「上がる」と回答した。「地価の動向」では、前回は「安定化」が13社と大半だったが、今回は4社が「上がる」、9社が「安定化」、2社が「下がる」と回答し、予想にばらつきがみられた。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。