熊谷組(東京都新宿区)はこのほど、同社の創業地・福井市で進めてきた「熊谷組 福井本店」の建て替え工事が竣工したと発表した。
新本店ビルは、『熊谷組の「歴史」と「未来」を具現化する、起業の地に相応しい建物』をコンセプトに計画。福井本店および福井営業所の機能を有する「次世代都市型コンパクトオフィス」を実現した。
新本店ビルでは、同社が独自開発した木質耐火部材を採用したほか、外皮性能の高断熱化や太陽光発電パネル、潜顕分離空調による床吹出放射空調などさまざまな手法を導入。1次エネルギー消費量を全体で83%削減し、立地・建物形状的に難しい都市型コンパクトオフィスビルにおいて、ZEBカテゴリーの「Nearly ZEB」を取得した。
建物内には、越前和紙や地元産の杉材を使用。社員の休憩・打ち合わせスペースを充実させ、ABW(Activity Based Working)を導入するなど、社員の健康増進と快適性・知的生産を向上させるスマートウェルネスオフィスとなっている。また、創業120年の歴史を具現化し、創業の精神を次世代に継承するための歴史記念館も開設した。
同社は、1938(昭和13)年に本店の地・福井市に株式会社熊谷組を設立。1964(昭和39)年に本社機能を東京に移してからも、同地を本店としてきた。創業120周年を迎えた2018(平成30)年、建物が老朽化したことから、新本店建設のプロジェクトを開始した。木造の採用・技術面においては、住友林業と協業・連携し、成果を今後の中大規模木造建築への展開につなげていくとしている。
今後は、建物を実際に使用しながら、環境負荷低減のデータを収集するとともに、働き方改革の実現と生産性向上を図る。新技術の導入効果の実証・検証をかさね、今後の中大規模木造建築における技術開発へとつなげていくとした。また、環境配慮型の建築物の普及に向けた営業展開を積極的に行っていく。
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