スノーピーク(新潟県三条市)は、このほど2021年12月期第2四半期決算短信を発表した。2021年1月から6月期の同社業績は、売上高が前年同期比77.6%増の116億円、営業利益が同期比で約6倍の16億円、純利益は同期比で約5倍の11億円と増収増益を記録、市況感を背景とした好調を示している。同社発表によると、国内でのキャンプ需要が好調なことを追い風としたことが好業績の主たる要因としている。
当決算短信にて21年度(FY21)の業績予測を大幅に上方修正した。売上高は約40億円の上方修正を行いFY21累計で245億円とし、営業利益は同累計30億円(9億5000万円修正)とした。また最終利益においては累計18億円(6億5600万円修正)としている。当決算発表後には同社株価は一時高騰。年初に1826円だった株価は16日時点で終値5360円を記録し、上場来最高値を更新。時価総額で1022億円に達した。投資家やステークホルダーなど市場に対するインパクトを与える結果となっている。
同社の国内市場における売上高は、昨年同期比で約1.7倍の89億円に達した。都市部店舗の来店客数は、2021年4月に発出された新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言の影響を受け減少傾向を示すものの、郊外店舗では販売が好調だったことを受け、全てのチャネルにて売上は堅調に推移。また、卸売チャネルにおいてはアウトドア関連商品へ需要が高まっており、卸売先での店舗スペースの拡大や取扱商品量の拡大が継続していることから、前年同期を大きく上回る成長を維持できたとしている。
海外事業においては、一部、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が特定の地域で見られたものの、展開する海外各国においても前年同期を上回る売上実績となっている。アジア圏では日本に次ぐ市場規模を持つ韓国。同国でも日本と同様にキャンプ関連の需要が高い水準で継続しており、SNSを通じたブランド戦略によって実店舗やEC経由での売上が上昇。昨年同期比で約2倍の10億円まで売上高は伸長した。また、韓国からの越境ECを利用するなどして中国市場での販売強化もはかる方針だ。
中国市場においても韓国と同様にSNSを通じたマーケティングを実施することで、現地百貨店などに対してブランド認知度の強化を図ろうとしている。一方、既に進出済みである台湾市場においては新型コロナウイルスの感染拡大によって直営店舗の来店客数は減少。しかし、台湾内でのキャンプ需要は依然として高い水準を維持していることから、同地域のECや卸売チャネルの売上高は、昨年同期比で約1.4倍の3億円規模へと成長した。
アメリカ市場は2020年9月にオープンした北米本社Snow Peak USA Headquarters(以下、Global HQ4)を起点として、リテール向けの戦略強化を継続。また当第2四半期よりテント商品の販売強化も実施している。現時点での同社分析では、需要度も高くブランド認知に貢献するものとされている。このような施策の効果もあり、アメリカ市場の売上高は昨年同期比で約2倍の8億円規模まで成長。また、2021年5月にはGlobal HQ4を構えるポートランドの旗艦店舗にレストラン「TAKIBI(焚火)」を併設開業した。レストランへの来店を通じてより一層、ブランド認知度の向上をはかる方針だ。
イギリス市場においては、ロンドン都市部でのロックダウンが継続された影響を受け、他国と同様に店舗売上高は減少。イギリス市場においての実店舗実績は厳しい状況がうかがえるものの、イギリス国内もアウトドア需要は高い状況が維持しており、ホールセールからの受注が下支えとなった。これらの要因により、イギリス国内の売上高は、昨年同期比で約5倍の2億円となっている。以上から、アメリカ、イギリスの欧米市場においても昨年同期を上回る売上実績を示す格好となった。
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