LIXIL(東京都江東区)は、このほど2022年3⽉期第1四半期の決算短信を発表した。同社の発表によると売上高、経常利益、最終利益ともに昨年度を上回る結果となっている。売上収益は海外事業を含めて3458億円と昨年同期比で11%の増収を記録。一方、事業利益は231億円となり、昨年同期比で257億円の増益を示した。また最終利益も168億円と昨年同期比で205億円の増益を示している。なお、事業利益および最終利益は、同社にとっての第一四半期決算結果としては過去最高益となっている。
今期の決算発表において、同社に増収増益をもたらした主な要因は、同社の保有するLWT事業(水回り事業)が大きく貢献したことによる結果だ。LWT事業においては特に海外市場での増収増益が貢献度としては高かった。新型コロナウイルス感染症により前年まで萎縮傾向を示していた欧米市場が、今期は一転し回復基調をみせたことによる。一方、同事業の日本国内市場は、構造改革の効果が出つつあるとしているものの、売上高は1%の微減を示した。
全社の売上高および増益に貢献したLWT事業では、第一四半期売上高は2106億円(昨年1655億円)と、451億円の増収となっている。事業利益も237億円(昨年30億円)を示しており、大きく伸長した。LWT事業の海外事業部門は、前年の新型コロナウイルス感染拡大の影響から一転、欧⽶の需要は回復基調を示しており、結果として増収増益につながった格好だ。その他、中国、アジア太平洋地域など主要な事業領域でもプラス成長を見せており実績は堅調な推移を示している。
また、⽇本国内市場も1%の売上減とはなっているものの、他の地域と同様に堅調な推移をみせている。日本国内市場では新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う在宅時間増が好転材料として働き、リフォーム件数の増加が報告されている。また、LHT事業(LIXILハウジングテクノロジー事業)の第一四半期売上高は、1148億円(昨年1173億円)とマイナス26億円を示すものの、事業の体質強化施策やリフォーム商品の売上伸⻑が影響。前年の⼦会社売却の影響を除くと増収増益となっており、今後もリフォーム増による伸長が期待できるとした。
一方、次の2事業においては、依然として厳しい同社の事業環境を覗かせる結果となった。主に日本国内を事業領域とするLBT事業(LIXILビルディングテクノロジー事業)とH&S事業(住宅・サービス事業)は、実績としてはかんばしくない状況だ。
LBT事業の第一四半期売上高は180億円となっており、昨年同期の213億円からマイナス33億円の結果を計上した。事業利益はマイナス8億円(昨年▲9億円)と昨年同期比でプラスとはなるものの、依然として利益を生み出せてはいない。同社報告によるLBT事業の見解は、⼤型物件を中⼼とした⼯期⻑期化や建材供給時期の遅れが発生したこととしている。
また、ビル案件は⻑期に渡り段階的に収益認識されることから、取り組みと効果の発現時期にはタイムラグが生ずるとし、来期以降に利益改善を⾒込むと説明。販管費の削減効果や事業体質の改善などにより赤字幅は縮小しているものの、工期の長期化や建材供給遅れなどの外的要因により事業実績が左右されるという環境には変わりない。
また、住宅などを扱うH&S事業は第一四半期の売上高は72億円となっており、昨年同期の113億円からマイナス41億円を計上。事業利益も昨年同期の4億円から今期1億円へと減益を示した。同社は、2021年4月以降の着工数はプラスに転じているとしているが、今後はウッドショックなどによる資材不測の懸念なども生じることから、依然として厳しい事業環境が続くと予想されている。
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