旭化成ホームズ(東京都千代田区)はこのほど、コロナ禍におけるオーナー宅(戸建て住宅)の電力消費量傾向を、ヘーベルハウスに設置したHEMSで得られる電力消費データから解析し、結果を発表した。
2019年度(19年4月~20年3月)と2020年度(20年4月~21年3月)の年間積算電力消費量を比較したところ、2019年度から2020年度にかけて年間の電力消費量が9.7%増加していることがわかった。
2019・2020・2021年の電力消費量を月ごとに見ると、2020年2月~2021年2月の期間に前年より電力消費量が増加しており、特に2021年1月は、前年比+22%で最も増加した。昨年との気温差の影響を排除しても、2021年1月の増加量が最も多く、コロナ禍における年末年始の外出自粛などによる過ごし方の変化などが伺える結果となった。過ごし方の変化に伴う19年比の1日あたりの電力消費の増加量は、約3kWhと見積もられるとする。
2020年と2021年の正月の過ごし方を調べたところ、2021年の正月は出かけず自宅で過ごした人が31.5%から72.0%に倍増していることがわかった。ある邸の大晦日から元旦にかけての電力消費量データを用途別に解析したところ、8時~18時にかけてLDKエアコンの電力消費が増加。また、夕食時のキッチン系統の電力消費、夜間の個室エアコンや洗面室の使用時間の増加から、在宅率増に伴う家庭での過ごし方の変化が浮かび上がる結果となった。
2019・2020・2021年の4月の時間帯別電力消費量を比較すると、初めての緊急事態宣言が出た2020年は、在宅勤務による起床時間の遅れにより朝の電力ピークの遅れがみられたが、2021年は2019年と同じ傾向に戻っている。また、2020年・2021年の夕食時の電力ピークが2019年と比べて1時間ほど早くなっていることから、コロナ禍での夕食時間の前倒し傾向の定着が伺える。
朝・昼・夜の食事のタイミングでの行動変化に着目し、2020年4月のオール電化家庭におけるIHクッキングヒーターの電力消費量を、“在宅勤務あり”と“在宅勤務なし”の2つにカテゴリ分けをして、2019年と比較した。その結果、在宅勤務ありでは昼のピークが12時に集中しているのに対し、在宅勤務なしでは11~12時にかけて緩やかなピークに。子供の在宅学習に伴う、昼食時の調理時間の増加などが推察される。夜は、在宅勤務ありの電力消費量が16時から急増していることから、通勤時間を調理時間に充てるなどの変化が伺える。
オール電化宅における、2020年度のPV所有効果(自家消費効果+売電効果)は、約12万円(卒FITでは約8万円)だった。
調査対象は、9都府県(東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県、愛知県、大阪府、京都府、兵庫県、福岡県)に存在するPV搭載のヘーベルハウスのうち、2427棟。
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