新建ハウジングが運営する工務店向けオンラインスクールサイト「チカラボ」から、工務店の経営者や実務者に役立つ記事をお届けします。
今回は、吉岡孝樹さんの「『小なれど一流』を目指す社長への【選ばれる工務店への道】コラム」ルームからの記事です。
大学卒業後、アパレル企業を経て住まいに関わること30年。自ら住みたい家に暮らし、同じ価値観でお客様にも提供する仕事がしたくて2000年鹿児島に移住し“日本一の工務店”と名高い 株式会社シンケンに入社。その後、2002年自宅を新築、2010年著書『家づくりの玉手箱』発刊。本作は、氏の個人的営業トーク→シンケンHPのブログ→書籍化というプロセスで生まれたもので、全編にわたり新鮮な住まい手目線の写真と文体で表現され読者から絶大な支持を得ている。SNS時代にも通じる住宅コンセプトブックの金字塔とも言える一冊。2019年に株式会社家づくりの玉手箱を設立、『工務店の参謀』としての活動を開始。…
先輩との雑談
先輩「伝統ある地元の仏壇業界は絶滅寸前です…地元最後の塗箔師が廃業したんです。」
ある地方都市でコンサルティングをされている先輩と食事をした際、教えていただいた話です。
私「最近、新しい家でもお仏壇置かれないお宅が増えてますものね。」
先輩「そうなんですが、業界が自滅した面も無きにしもあらずなんですよ。事業自得とも言えると思います。」
私「え?それってどういうことなんですか?」
先輩のお話では、仏壇業界は小売店、卸業者、製造(職人)という構造になっていて、製造段階では木地師、彫師、金具師、塗箔師、蒔絵師のスペシャリストの技で完成する分業制になっているそうです。その中でも塗箔師(ぬりはくし)は仏壇づくりの中で他の職人に指示を出す中心的な役割、ディレクターの立場でもあるそうです。
最近のお仏壇は、8割9割は合成漆のスプレー塗りの中国製。かつて「スプレー塗りの中国製」を「本漆塗りの日本製」と偽り高価で販売する小売業者が多数現れ、業界自ら自分たちの商材に対する市場での信任を破壊してしまったというのです。消費者が商品の知識をあまり持っていないことをいいことに、元々は安価な中国製のお仏壇に高額な定価をつけ、大幅な値引きがあるように装って販売するといった「二重価格」での販売手法が一部で横行していたそうです。
業界構造が複雑に分業されていて、伝統的に製販分離の状態が続いていたためにこのような問題が発生してしまったのです。2010年には業界団体において『仏壇の表示に関する公正競争規約』が策定。公正取引委員会や消費者庁にも認められたそうですが、時すでに遅し。業界全体の信頼回復や需要創造には結びつかなかったようです。
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