脱炭素で持続可能な社会をつくっていくことを目指すNPO法人「気候ネットワーク」代表の浅岡美恵氏は8日にIPCC第54回総会及び同パネルWG1第14回会合において、第6次評価報告書(AR6)第1作業部会(WG1)報告書が受諾されたのを受け、11日、「エネルギー基本計画と地球温暖化対策計画の抜本的見直しが必要」と声明を発表した。
今回の報告書では「人為的な影響が温暖化の原因になっていることに疑う余地はない」と原因を言い切った。地球の平均気温1.5℃の上昇でも50年に1度の熱波の発生頻度が現状の約2倍になり、1.5℃の上昇に抑えるための残余のカーボンバジェット(炭素予算)は4000億tに過ぎず、最も低い排出シナリオでも、2040年までに1.5℃上昇する可能性があり、気候危機の厳しい現実と早期の排出削減の必要性を突きつけた。
しかし、政府が検討している2030年の削減目標は2013年度比46%削減にとどまり、1.5℃の削減経路から大きくかけ離れている。8月4日に示された第六次エネルギー基本計画の素案2は、脱石炭に言及しないばかりか、再生可能エネルギーの引き上げは2030年に36~38%にとどまり、電力システム改革への意欲は乏しかった。
温対計画案の対策もGHGの85%を占めるエネルギー起源の二酸化炭素を2013年度比約45%削減することを目指すとしながらも、その中身はエネルギー基本計画案に委ね、建築物対策を除けばこれまでの業界の自主的取組みのままとなっている。
声明では「報告書に示されたように、2030年半減、2050年脱炭素は不可避である。それは、日本の持続可能な発展・産業競争力の再構築にも不可欠である」と現状の厳しさを言及し、「1.5℃目標と整合するエネルギー・地球温暖化対策計画に向けて、エネルギー政策を抜本的に転換すべきである。まず、2030年までに石炭火力から脱却し、再エネ主力電源化に本気で取り組むべきである」と強く訴えた。
■小泉環境相「大胆な政策強化に全力尽くす」
報告書に関して小泉進次郎環境大臣が談話を発表。地球温暖化の深刻な現状を受け止め、「世界の国々と共に野心を高め、パリ協定の着実な実施に繋がるCOP26になるよう、日本の環境外交力を発揮してまいります」と宣言。さらに「私も、既に影響が現れている気候危機に対し、気温上昇を1.5℃に抑制するために、まずは2030年に向けて、カーボンプライシングをはじめとする幅広いポリシーミックスを検討し、地球温暖化対策計画の策定と計画を実現するための大胆な政策強化に全力を尽くさなければならないとの想いを新たにしました」と決意を語った。
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