新建ハウジングが運営する工務店向けオンラインスクールサイト「チカラボ」から、工務店の経営者や実務者に役立つ記事をお届けします。
今回は、吉岡孝樹さんの「『小なれど一流』を目指す社長への【選ばれる工務店への道】コラム」ルームからの記事です。
大学卒業後、アパレル企業を経て住まいに関わること30年。自ら住みたい家に暮らし、同じ価値観でお客様にも提供する仕事がしたくて2000年鹿児島に移住し“日本一の工務店”と名高い 株式会社シンケンに入社。その後、2002年自宅を新築、2010年著書『家づくりの玉手箱』発刊。本作は、氏の個人的営業トーク→シンケンHPのブログ→書籍化というプロセスで生まれたもので、全編にわたり新鮮な住まい手目線の写真と文体で表現され読者から絶大な支持を得ている。SNS時代にも通じる住宅コンセプトブックの金字塔とも言える一冊。2019年に株式会社家づくりの玉手箱を設立、『工務店の参謀』としての活動を開始。…
大阪時代の「普通」
大阪時代、注文住宅営業の仕事をしていた頃のことです。
会社で販売している自社団地の分譲住宅は外構・造園がセットで仕上げられていて、外部も含めて完成された「住まい」の雰囲気があるのに、注文住宅になると途端に外構・造園が省かれるのが普通でした。
注文住宅でも建築条件付きの自社分譲団地内の土地に建ててもらう場合は外構・造園をセットになっていました。これは、団地内の建築協定 ※ などを理由に半強制的に契約に含めてもらえる例外的なケースでした。
いわゆる一般地(自社分譲地以外)では、ほとんどの場合なぜか資金計画の段階で外構・造園は請負契約外の別途工事という扱いになっていました。(資金計画書の外構・造園工事欄は金額の数字表記ではなく、別途工事という漢字表記になります)
※ 建築協定とは、環境保全や個性的な街づくりを目的に土地の所有者全員の合意によって建築基準法などに重ねて一定のルールを加えることです。新規分譲地の場合は合意形成が容易であることから、分譲前に事業主が全部所有している段階で作られている場合がほとんどです。各購入者は分譲時に建築協定に同意しないと購入できません。
国土交通省ホームページ
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk5_000002.html
その頃、素朴に疑問に思ったので先輩に「なんでなんですか?」と尋ねてみました。
そうすると先輩は「そら常識やろ!」という顔で「外構・造園入れてたら見積もり遅なるし、だいたい予算オーバーで契約取れへんで」と間髪入れずの回答でした。当時ぜんぜん契約の取れなかった私には非常に納得できるというか、変に説得力のある回答でした。
営業マンは“家”を売るのが仕事。(正確には契約を取ることですが…)残念ながら売る対象は、お客様の求めている“住まい”ではありません。他社と競合した際に、比較されやすく利幅の小さい外構・造園は戦略上省くのが定石ということだったのです。
さらに、現場担当の先輩からは「工期は長くなる上に天候にも左右される外構・造園はやりたくないわー」とキッパリ。そんな調子の環境で、お客様から契約をいただいて工事を進め、お引渡しをしていると…
こんな様々な「しくじり」をすることになりました↓
▼吉岡孝樹さんの他の記事はこちらのルームから▼
「『小なれど一流』を目指す社長への【選ばれる工務店への道】コラム」
▽「チカラボ」とは?▽
https://chikalab.net/about
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。