長野県が「脱炭素社会」の実現に向けて加速している。
脱炭素社会づくりを目指す「長野県ゼロカーボン戦略」のなかで、建物に関するシナリオで「2030年に全ての新築建築物のZEH・ZEB化」を描く。その実現に向けた施策として、「信州型健康ゼロエネ住宅(仮称)」の普及を目指している。
このほど県は、外皮性能についてZEHレベル、ZEH+レベル、 HEAT20・G3レベルの3つの基準を定めた同住宅指針の基準案を示した。 基準には、外皮性能だけでなく、自然エネルギーや県産材の活用、耐震性の確保、 長寿命化、パッシブデザインの採用など、さまざまな条件を盛り込んだ。年内にも指針を取りまとめる方針だ。県は県内の地域工務店や設計事務所をパートナーとし、二人三脚で県民に同指針を浸透させたい考えを示している。
県を取材した本紙編集長の関卓実は、こう話す。
「脱炭素社会の実現に向け、住宅施策は重要なカギを握る。長野県のように、自治体が脱炭素化へのシナリオに位置付けて、住まいのあり方を示す動きは今後も広がるだろう。地域工務店が検討の段階からそこに加わり、行政や生活者とともに脱炭素社会の実現に欠かせない住宅というインフラづくりの担い手として存在感を発揮していけたら、住まいや暮らしはさらによくなっていくはずだ」
新建ハウジング最新8月10日号では、県が示した「信州型健康ゼロエネ住宅(仮称)」指針の基準案である、ゼロエネルギー達成に向けて最低限確保すべき「基本基準」、環境負荷の低減と快適性を高次元で達成する「推奨基準」、環境負荷を極限まで抑えたチャレンジ基準としての「先導基準」―の3案などについて詳報し、今後の見通しについても分析している。
■見える化制度、9月から本格スタート
国がお墨付きを与える、工務店と職人の注目の評価制度がいよいよスタートする。
国土交通省の建設キャリアアップシステム(CCUS)を活用して、業界統一の基準で工務店や職人などについて評価する「専門工事企業の施工能力等見える化評価制度(見える化制度)」が、9月から本格運用される見込みだ。4段階(最高☆4つ~最低☆1つ)で分かりやすく評価するもので、国内約60万の事業者・職人が対象となる。
評価実施団体として国交省から指定を受けたJBN・全国工務店協会、全国建設労働組合総連合(全建総連)、全国住宅産業地域活性化協議会(住活協)の3団体は、このほど共同で同制度の評価基準を策定し、大臣認定を取得した。「見える化制度」を主導したキーマンである、JBNと全建総連の担当者を直撃し、4面では、その詳細な評価項目や基準について取り上げている。【栁原潤】
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