国土交通省、経済産業省、環境省の3省合同で、7月20日に開かれた第5回「脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会」。
第11回再エネタスクフォースでのフォローアップを経て、取りまとめとなる「脱炭素に向けた住宅・建築物における省エネ対策等のあり方・進め方(案)」を掲示し議論された。同日は初めて、対策の進め方に関するスケジュールが公開。省エネ基準適合義務化は2025年の見通しを示した。
中期目標は創エネ抜きのZEHにとどまり、太陽光発電も「2050年に設置が一般的になること」など腑に落ちない、あいまいな表現に終始した。CO2排出量削減への貢献度が疑問視される、きわめて不十分な「案」と言わざるを得ない。
あり方検討会を第1回からレポートし、委員として参加する竹内昌義さん(東北芸術工科大学教授)、再エネタスクフォースで“伝説のプレゼン”を行った前真之さん(東京大学大学院准教授)、工務店業界で脱炭素化を先導する小山貴史さん(エコワークス社長)らキーマンに公開取材を続けてきた本紙記者の荒井隆大は、第5回を次のように振り返る。
「適合義務化の時期が明示され、さらに省エネ基準超の水準を推進する方針が掲げられたのは、これまでに比べれば前進だろう。しかし、業界の状況からしても、やはり不十分なのは間違いない。再エネタスクフォースで河野太郎大臣がさらなる改善を求めているので、今後も注視してほしい」
新建ハウジング最新7月20日号の1~2面では、今回のあり方検討会を詳報しているほか、今後の見通しについても分析している。
■死傷者最多の建設業、密集の屋内作業ハイリスク
コロナ禍で2度目の夏を迎えた。ウイルスと殺人的な暑さとの闘いが始まる。
環境省と気象庁が7月下旬に、熱中症の危険性が極めて高いとする「熱中症警戒アラート」を各地で発令するなど、全国的に猛暑が続き、建設現場での対策も急務となっている。
毎年、多くの職人が猛暑による炎天下の現場や、高温多湿の環境下で熱中症を発症している。命を落とす例も少なくない。
厚生労働省が、このほど公表した2020年の「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」によると、 過去5年間(2016~2020年) の業種別熱中症の死傷者数では、建設業が最多の861件(死者42人)を記録。昨年は215件(同7人)で、2018年の239件(同10人)に次いで、2番目に多かった。
あらためて、工務店は感染対策と熱中症予防の両立が求められる。20面では、職人などが熱中症を発症した状況や、具体的な対策についてレポートしている。【栁原潤】
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