天野保建築(山梨県富士吉田市)の天野洋平さんは、ひとりで営業、設計、施工、現場管理をこなしながら高性能住宅づくりに取り組んでいる。2019年には大型パネルを導入し、受注可能な棟数を拡大して経営の安定化を目指す。現在は、2棟目の大型パネル採用案件を施工中で、断熱材のプレカットも導入した。さらなる生産性向上を図っている。
(2020年7月30日発行の新建ハウジング別冊ワンテーママガジンより転載)
西方設計とコラボした高性能住宅
現在施工中の住宅は、建築家の西方里見さん(西方設計)が設計を担当。以前も、西方さんに基本設計を依頼したことがあったが、今回は実施設計まで依頼した。Q1住宅のレベル4に相当する性能で、UA値は0.23W/㎡K。H28年省エネ基準と比較すると約4分の1、13.5%の熱負荷となる。
今回は、敷地が狭く、特に北側と東側の余裕が少ない。そのため、付加断熱材に、厚みを抑えられるネオマフォーム(100mm厚)を採用した。グラスウールは、施工時の雨などに影響を受けやすいため、品質を考慮した結果でもある。壁内には高性能グラスウール16K105mm厚を充填する。屋根も同様の断熱構成だ。サッシには「佐藤の窓 スマートウィン」を採用した。レインボーオーシャンビュー(香川県丸亀市)によるドイツ製木製サッシのライセンス生産品で、このほどガラスの国産化を実現。輸入品に比べて2割安く販売できるという。
不利な条件下でもパネルの効果大
現場は大きな通りに面しており、大型パネルの搬入や上棟のスペース確保が課題になった。両側には住宅があり、交通量もあるため、トラックやクレーン車を長時間停車させるのが難しい状況にあった。
天野さんは、上棟に際して道路の使用許可を取り、かつ隣の住民には敷地を使わせてもらえるようお願いし、車両の停車スペースを確保した。また、資材を現場で保管するのも難しかったため、すぐ近くにあるドラッグストアの駐車場を借り、構造材や屋根パネル(自社で製作)の置き場とした。施工する分だけをトラックで現場に運ぶのだ。
普段の現場に比べ、手間はかかる。それでも、サッシの重量が重い(最大で約270㎏)ことや、上棟から3~4日で外壁まで工事が進んだことを踏まえると、大型パネルを採用したメリットの方が大きいという。むしろ「悪条件でも、その条件を前提とした短期集中型施工のほうが生産性は高い」と、天野さんは感じたという。
また、大型パネルでも、付加断熱は、現場で断熱材を加工して施工する必要があった。しかし、今回は断熱材もプレカットして搬入。大型パネルで躯体の施工精度が担保されているので、何の問題もなく施工することができた。・・・・
続きは、『新建ハウジング別冊・ワンテーママガジン/工務店テック&住宅テック(P.14~)』(2020年7月30日発行)に掲載しています。
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