竹中工務店(大阪市)はこのほど、戸建て住宅用の一般流通材を活用して、オフィスなど大スパンの建物を実現する木架構システム「ダブルティンバー」を開発したと発表した。現在施工中の同社小規模オフィス「北海道地区FMセンター」に初めて適用する。
今回開発した「ダブルティンバー」は、在来軸組工法を応用することで、設計・調達・製作・施工において特殊技術を必要としない汎用性の高いシステムとなっている。非住宅分野の建物でも、戸建て住宅用の一般流通材を使用して地元の協力会社などが施工できるため、全国の国産地域材の地産地消に貢献できるという。
同システムでは、梁の両端部の接合位置をあえてスパンの内側に寄せて接合部間をつなぐ梁スパンを短くし、荷重による変形を低減。梁と柱を二重柱、二列梁の二重部材構成にすることで、荷重分散を図り部材の小断面化を実現した。集約配置した二重筋交により、耐震性と執務空間の確保の両立が可能で、オフィスなどの非住宅と親和性が高いという。同センターでは、小中断面集成材を使用することで、構造部材の道産材採用率100%を実現した。
一般流通材のみで架構を構成するため、大断面集成材で計画した場合と比較して約40%のコスト低減ができるという。また、建設工事におけるCO2排出量も同規模の鉄骨造建物と比較して70%程度削減できるという。
同社は今後、同システムを展開することで、全国の国産地域材の地産地消に貢献するとともに、事業における木材の積極的な活用を通して、SDGsや脱炭素など国際的社会課題の解決を目指す。
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