住友林業(東京都千代田区)、BrainEnergy(東京都渋谷区)、東京慈恵会医科大学(東京都港区)はこのほど、うつ病に対する木の効果解明研究を開始すると発表した。
3者は、昨年11月に「木質内装建材や木の香りにより構築された治療環境が精神・心理療法の効果に与える影響」に関する共同研究で合意。うつ病を対象に木材の見た目や香りを用いた治療環境が、精神・心理療法に補助的な効果があるかを検証する。
近年、精神疾患は世界的に増加傾向であり、「うつ病」は社会問題のひとつとなっている。薬物療法は適切に使用することで効果が得られるが、「軽症うつ病」には薬物療法の実証度は高くなく、またうつ病の回復期では認知行動療法などの心理療法が有効だとされている。植物や木材などの自然の要素には抗うつ・抗不安効果が期待されており、自然とのつながりが感じられる空間「バイオフィリックデザイン」は、うつ病や不安症の代替療法として注目されている。
今回、慈恵医大附属病院の精神神経科外来・心理療法室の内装を木質化し、通常の心理療法室とともにうつ病に対する認知行動療法を約16週間かけて実施。うつ病の重症度評価や脳機能計測など臨床試験を進め、治療環境の違いがどのような影響を与えるのかを検証する。
住友林業は、木の効果研究・快適空間創出の実績やノウハウを生かし、研究計画の作成、木質内装建材・木の香り等の環境構築の監修等を担当。BrainEnergyは、ストレスと治療環境の構築に関する中枢神経データベースを活用し、治療環境の監修構築、データ測定・分析評価などを担当する。慈恵医大の医学的知見を組み合わせることで、木の新しい価値を発見し、精神・心理療法の分野でもより良いサービスを提供、より快適な空間づくりを目指すとしている。
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